滑らかな曖昧性選好は、近年経済学およびファイナンスで注目されている意思決定理論である。本研究の目的は、この選好を連続時間モデルに適応した一般均衡資産価格モデルを構築することである。これにより、ファイナンス研究の重要課題である様々な資産価格パズルを解決することができる。 また本研究では、家計の曖昧性選考を効用関数ではなく確率分布の歪みによって表現することになる。この結果を適用すると、伝統的な期待効用理論の枠組みを維持したまま、モデルに曖昧性選好を導入することが可能となる。この利便性は本研究の大きな特色であり、幅広いファイナンス分野の理論・実証研究への応用可能性を持っている。 前年度までの分析により、本研究のモデルが①株式プレミアムパズル②安全利子率パズル③株式ボラティリティプレミアムパズルを同時に解決可能であることがわかっている。既存研究では個別の資産価格パズルに対する解決法を提示することが多いが、複数の資産価格を同時に説明できるという点において、一般均衡モデルとしての本研究の有用性を示すことができた。 最終年度(2024)年度では、これらの結果を学術論文にまとめ、査読付き学術雑誌(International Review of Financial Analysis)に投稿した。これについては既に掲載許可を受けており、2024年7月に刊行予定である。
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