研究実績の概要 |
2年目となる2021年度は、周波数領域において為替レート予測を行い、あらかじめ設定した周波数領域での予測精度が、時間領域での予測精度を上回るかという問題について扱った投稿中の論文の改訂作業を行った。この論文では、あらかじめ設定した複数の周波数帯をベイズモデル平均法を用い、予測にとって比較的重要な周波数帯を探し出したほか、以前に推定を行った通り、複数の既存の為替レートモデルに基づいて制約をほぼ取り払った上でLASSOによって予測に重要となる周波数を見いだして予測をするという手法によって推定・予測を行った。 並行して本年度は一般化最小二乗法によって時変係数モデルを推定する方法の推定精度についての考察も行った。本研究課題において時変係数モデルとその推定を扱う理由は、為替レートのような複雑な経済時系列の場合には、その予測手法の1つとして、周波数領域による予測と精度を比較する対象として重要と思われるからである。時変係数を含むベクトル自己回帰モデルは近年マクロ経済学の分野で頻繁に使われるようになってきたが、推定が大変複雑であるという問題がある。このため、時変パラメター推定における標準的な方法であるカルマンフィルターを用いた方法ではなく、線形回帰の問題に置き換えることで、一般化最小二乗法によって簡易に推定するという手法を従来から用いてきたが(Ito et al, 2014, 2016, 2021)、その手法の推定精度をシミュレーションによって求めた。この論文の改訂作業を行い、Ito, Noda, and Wada (2022) として掲載が決定した。
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