研究課題/領域番号 |
20K01781
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
山田 和郎 立命館大学, 経営学部, 准教授 (90633404)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 現金保有 / 超過現金 / リスク / 予備的動機 |
研究実績の概要 |
本年度中は2020年度に整備したデータセットを用いて、統計分析を行った。そのために直近までに主要雑誌に発表された先行研究を網羅的にレビューを行った。特に近年の米国の研究で扱われている変数を可能な限りモデルの中に組み込んだ。具体的には一般的には将来のキャッシュフローリスクに対する予備的動機としての現金保有が決まるとされていた。近年の研究ではリスクについてこれまでより多面的に捉えられていることが確認された。そのため、本研究ではそれら複数のリスク性指標を分析に組み込んだ。 また分析対象を企業サイズで分割した分析を行った。結果として規模ごとに大きな異質性が存在することが確認された。このことから日本企業の現金保有を考えるにあたっては企業サイズの異質性に留意する必要がある。 さらに分析期間中の現金保有が増加傾向にあることが確認された。さらにはその全体としての変化が、構成企業の変化によるものなのか、あるいは既存企業が増加させているのかを確認した。現在得られた結果によると、期間中の現金保有比率増加分のおおよそ半分が経済を構成する企業群が変化したことに起因することが確認された。とくにリスクの高い研究開発型企業や融資を得ることが難しい有形固定資産を持たない企業が増加傾向にある。これら企業の現金保有が増加傾向にある。ただし残り半分は現時点用いた推定モデルからは説明できないものであった。 分析結果は現任校の学内セミナーと複数の他大学でのセミナーで報告を行った。それらのコメントなどを踏まえていく必要があると認識している。 また分析内容の一部は独立した論文として取り出し、現在ジャーナルへの投稿をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点では基本になる分析を概ね終わることができた。分析で得られた結果は解釈可能なものであった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度が研究機関の最終年度であることから、研究を論文としてまとめ上げた上で、雑誌に刊行することを目的とする。 前期においてはすでにいくつかのセミナーでの報告が決まっている。それらを踏まえて、後期に論文の作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの拡大に伴い、出張などがオンライン化された。それに伴い出張費が減少した。 一方で予定になかったオンラインセミナー・学会の報告機会ができたことにより、英文校正代が増加した。 研究成果は次年度中にも英文雑誌への投稿を予定しており、英文校正や投稿料に予算を執行することを予定としている。
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