研究課題/領域番号 |
20K01785
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
堀 敬一 関西学院大学, 経済学部, 教授 (50273561)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 企業金融 / 流動性 |
研究実績の概要 |
本研究課題に関わる基礎的な研究成果を、西安外国語大学の楊晨との共同研究として「日本の株式市場の流動性―2000年以降のデータに基づく分析―」を『証券経済研究』に公刊した。 この論文の概要は以下の通りである。この論文は2000年以降の日本の株式市場のデータを用いて、様々な流動性に関する指標の特徴を考察している。はじめに株式市場における流動性の概念を説明する。流動性の代表的な指標である、取引量、回転率、スプレッド、Amihudの非流動性指標、Pastor・Stambaughの指標、ゼロリターン日の割合、Liuの指標を紹介し、それぞれの指標が持つ経済学的な含意や背景となる制度的要因を明らかにする。次に東京証券取引所のうち、1部、2部、マザーズのデータを用いて、各市場の流動性の指標を計算した。その計算結果から得られた主な結果は以下の通りである。第1に、2部とマザーズに比べ、東証1部は回転率を除くすべての指標から判断すると流動性が最も高い。第2に、流動性の指標間の相関関係を分析したところ、相関係数の符号はほぼ予想された結果が得られたものの全体的に相関関係が高くない。また各指標間の相関係数も時間を通じて安定的ではない。第3に、東証1部で収益率が正の日と負の日とで区別して流動性を計算すると、正の日の方が負の日に比べて流動性が高い。第4に東証1部ではAmihudの指標に規模バイアスが存在する可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本の株式市場の流動性の基礎的な統計を確認する作業までは順調に実施できている。その後の作業において研究協力者が海外に在住しているために、オンラインでの作業に依存していることが理由でやや遅れている。現時点で速やかに海外との往来が期待できないために、オンラインでの作業体制の構築に努めている。
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今後の研究の推進方策 |
日本の株式市場における流動性の特徴についてはある程度理解が進んだので、今後はコーポレートガバナンスが流動性に与える影響の経路を考察する予定である。特に株式持ち合いが解消された場合、市場に放出された株式は誰がどのような動機で保有しているのかを調べる必要がある。 現時点で作業が遅延気味になっているものの、研究計画自体に大きな変更を予定していない。ただし最新のデータにアップデートした場合に、新型コロナウイルスの諸般の影響を分析にどの程度取り入れるかは、今後の検討課題である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際共同研究の実施および国際学会に出席するための旅費を支出できなかったため。未使用額は国際共同研究や国際学会への出席可能な環境が整い次第、旅費として支出する予定である。
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