本研究では、両大戦間期の日独両都市において余暇の組織化が共時的に展開され得たことの要因と、その社会経済史的意義を解明するために、都市ガバナンスの視角からドイツの歓喜力行団(KdF)と厚生運動の実態比較及び相互関係の考察を進めた。分析視角の都市ガバナンスは、諸アクターの相互関係を通じて構築され、外在的・内在的要因により変動する都市空間の社会的秩序と定義した。両運動の実態と歴史経路の比較分析を通じて、KdFは、1920年代に展開された生活改善運動が、総力戦体制構築に資する厚生運動へと移行するための触媒として機能したことを明らかにした。
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