研究課題/領域番号 |
20K01789
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
邉 英治 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (50432068)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 金融史 / エリート / プルーデンス / シャンド |
研究実績の概要 |
研究年度第3年目にあたる本年度は、日本の銀行エリート及び銀行業に関する資料収集を継続するとともに、データ入力及び分析をさらに進展させた。但し、コロナ禍が長引いたこと及び同僚の異動に伴って研究代表者が学部&大学院の入試広報委員長(ホームページ委員長も兼務)という要職に想定外に就任したことにより、予定していた研究遂行上で困難な部分もあった。 主に収集した資料は、各銀行の『営業報告書』、『有価証券報告書』、及び銀行エリートに関する伝記・自伝類、である。並行して、日本の銀行エリートに多大な影響を与えたA.シャンドの銀行取締役としての活動についての調査研究も進めた。今後さらに研究を進め、論文化したいと考えている。 国際比較分析については、私がオーガナイザーを務める世界経済史会議(WEHC2022 @Paris)において銀行エリートに関するセッションを2022年7月に実施し、日本のプルーデンスに関連するエリートについて研究報告を行った。また、2022年5月には、日本金融学会春季大会(於、麗澤大学)で関連するセッション(Financial Elites in Prudential Issues: A Historical Perspective)の組織者及び副座長を務め、金融エリートの最近の研究動向等について、セッション趣旨説明の中で報告を行った。 さらに、グラスゴー大学、ウプサラ大学、ローザンヌ大学の国際共同研究者との数度の研究打合せを経て、2022年11月、国際ジャーナル特別号(Management & Organizational History: Special Issue on Human Capital in Financial Regulation and Supervision)の筆頭編集者に就任し、金融エリート史の研究発展に貢献している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍が長引いたことにより、東京大学経済学部図書館での資料収集ができなくなったほか、同僚の異動に伴って研究代表者が学部&大学院の入試広報委員長(ホームページ委員長も兼務)という要職に想定外に就任したことにより、国立国会図書館での資料収集の回数も減らさざるをえなかった。また、こうした一連の事情により海外出張も実施できなかった。 パリの国際カンファレンスや海外の共同研究者との打合せには、オンラインを活用したが、時差の関係で長時間の議論は困難であり、またオンラインでは提示できない史資料もあり、主に対面が必要な部分について、やや遅れが生じた。
|
今後の研究の推進方策 |
コロナ禍により実施できなかった東京大学経済学部図書館での資料収集は、2023年度より開始できると思われる。激務であった入試広報委員長(ホームページ委員長も兼務)の任期が終わったため、抽選制がなくなったこともあいまって国立国会図書館での資料収集のペースも上がる見込みである。ロシア・ウクライナ情勢等不透明な部分もあるが、史料収集及び海外共同研究者との打合せのため、海外出張も予定している。これらにより、史資料の収集、データの分析、研究成果の論文化も大幅に進展する予定である。 なお、私が筆頭編集者を務める国際ジャーナル特別号については、2023年度刊行を見込んでいる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍が長引いたこと及び同僚の異動に伴って研究代表者が学部&大学院の入試広報委員長(ホームページ委員長も兼務)という要職に想定外に就任したことにより、出張回数が減ってしまったため、旅費を中心に次年度使用額が生じた。 次年度はコロナ禍による国内・国際移動に関する規制も本格的に緩和されるため、国内出張の増加及び海外出張の再開により、史資料の調査収集や研究打合せ等の遅れを回復できる見込みである。また、次年度は、1コマ分バイアウトにより非常勤講師を雇用する予定のため、その分だけ調査・研究・論文執筆時間も多く確保できる見込みである。次年度使用計画としては、外国旅費・国内旅費・英文校正費・謝金・複写費等を予定している。
|