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2023 年度 実施状況報告書

戦後国際協調とイタリアの南部開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K01790
研究機関名古屋大学

研究代表者

伊藤 カンナ  名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (30334999)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワードイタリア経済 / 金融史 / 国際資本移動 / ユーロダラー市場 / 開発金融 / 地域経済格差
研究実績の概要

第二次大戦後のイタリアにおける南部開発投資と国際資本移動の連関について検討し、2023年度政経史学会秋季パネル『グローバル債務の歴史的諸相―開発金融と資本移動』で「戦後イタリアの金融政策運営と国際資本移動:1950-70年代」と題して研究報告を行った。具体的には国際通貨基金(IMF)、国際決済銀行、欧州投資銀行、イタリア銀行の国際資本移動のデータと史料から、当該期に国際的な資本移動の自由化が進み,ユーロダラー市場が発展する中で,外国資本とイタリア資本はどのようにイタリアに流入・流出したのかを検証し,資本移動の自由化による外国資本や国内資本の動きがイタリアの経済政策運営にどのような影響を与え,どのような相関関係を持ったかを検討した。この結果、1950年代以降イタリアでは国際機関からの開発借款やユーロダラー市場での取引を通して国内に外国資本を導入し経済成長を図ってきたこと。1958年末の対外交換性回復や,1960年のEEC資本移動自由化指令を受け,イタリア当局にとっても資本移動の自由化は進めるべき課題であったが,資本移動の自由化はイタリアからの大量の資本流出や通貨に対する投機的攻撃をもたらし,金融当局にとっては対外収支の均衡や通貨の安定という命題はより達成が困難になったこと。また,1960年代半ば以降は高騰する賃金と物価の抑制と不況対策という課題に直面し、金融当局は銀行や公的機関によるユーロダラー市場の利用を調整することで,国内で不足する資本を外国で調達し,国内企業の資金需要や開発投資,経常収支と外貨準備の防衛に利用したことを明らかにした。考察をまとめ、「イタリアにおける資本移動の自由化:1947-1978年 The Capital Movements Liberalization in Italy: 1947-1978」として公表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2020年度以降のコロナ禍による渡航制限および2022年2023年以降の欧州周辺での様々な紛争の勃発によるリスクの高まりによってイタリア南部の視察や史料館訪問ができない状況が続いており、資料収集が滞っているため

今後の研究の推進方策

2024年度はイタリアの開発と国際資本移動について共同研究をすすめ、とりまとめを行う。また、戦後のイタリアで巨大産業グループを形成していた国家持株会社-産業復興公社ーによる南部開発投資の内容と、同社の資金調達について公刊資料、一次史料から検証し、実態解明をすすめる。また、イタリア南部の開発拠点を実際に視察し、史料や情報収集を行うとともに、ローマの国立公文書館・イタリア銀行、フィレンツェの欧州大学機関EUI,アメリカ合衆国の世界銀行・国際通貨基金・国立公文書館において史料収集を行い、イタリアの南部開発戦略に対して、国際協調体制が与えた影響を検証し、論考をまとめる予定である。

次年度使用額が生じた理由

2020年度以降のコロナ禍と2022年2023年の欧州周辺での紛争勃発による社会リスクの高まりから、イタリアを訪問し資料調査・収集する機会を何度も見送らざるを得なかった。国際情勢を注視しつつできるだけ早く現地を訪問し、本研究の根幹をなす一次史料の調査収集と、イタリア南部の産業開発拠点の視察を行う予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] The Capital Movements Liberalization in Italy: 1947-1978(イタリアにおける資本移動の自由化: 1947-1978年)2024

    • 著者名/発表者名
      伊藤カンナ
    • 雑誌名

      Economic Research Center Discussion Paper E-Series

      巻: E24 ページ: 1-23

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 戦後イタリアの金融政策運営と国際資本移動─1950s-70s─2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤カンナ
    • 学会等名
      2023年度政経史学会秋季大会パネル『グローバル債務の歴史的諸相―開発金融と資本移動』

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公開日: 2024-12-25  

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