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2021 年度 実施状況報告書

「安全第一、生産第二」の経営史―戦後日本石炭産業の事例

研究課題

研究課題/領域番号 20K01797
研究機関東洋大学

研究代表者

島西 智輝  東洋大学, 経済学部, 教授 (70434206)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード石炭産業 / 労務管理 / 鉱山保安 / 安全衛生 / 炭鉱
研究実績の概要

本年度も、資料館・博物館等の一次資料所蔵先の長期閉館等により、予定していた資料調査を十分に実施できなかった。しかし、ケース・スタディの対象を絞り込み、限られた機会を利用して資料収集と分析を行うことができた。遺憾ながら、本年度は、分析に基づいた論文執筆に取りかかるにとどまり、それを発表するには至らなかった。本年度の研究で明らかになりつつある点は、以下のとおりである。
まず、前年度に明らかにした労働規律の弛緩の背景を考察した。背景については、以下の仮説が考えられるが、資料に基づいた実証にまでは至っていない。第1に、自然条件や保安教育だけでなく、労働力の流動性が影響していたことである。これは、炭鉱への入職・離職だけでなく、炭鉱内での労働力配置の流動性も含む。第2に、労働力間の身分格差に起因する情報格差である。これは、炭鉱の正規従業員、関連会社の下請け従業員、地元の下請け従業員間の格差を指す。第3に、生産管理機構の限界であるが、この点については、さらに資料を読み込む必要がある。
次に、たとえ保安優良表彰を受けた炭鉱であっても、保安優良の状況を維持することは困難であった。表彰制度は、保安改善に向けたインセンティブになり得るが、持続的な保安改善のためには、表彰制度とは異なるインセンティブの設計が必要だったことが示唆される。
上記の仮説等を実証するには、文書資料に加えて聞き取り調査を行う必要があると考えられるため、後述するようにオーラルヒストリーの収集を考慮する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は分析対象を限定することで新規資料の収集・分析を行うことができたものの、新型コロナウイルス感染症対策に係る移動制限や施設閉鎖等により、当初計画にあった資料収集とオーラル・ヒストリー作成が困難な状況が継続したため。

今後の研究の推進方策

最終年度であることを踏まえ、既収集資料の分析と論文完成に注力するとともに、不足資料の収集を行い、研究の完了を目指す。オーラルヒストリーの収集については、引き続きWeb会議システムの利用を考慮する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症に係る諸対策により、当初予定していた資料調査旅費、および聞き取り調査文字起こし費用の支出ができなかったため。今年度は、現下の社会状況を見極めつつ、計画の着実な実施に努めたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 図書 (1件)

  • [図書] ハンドブック日本経済史2021

    • 著者名/発表者名
      平井健介、島西智輝、岸田真
    • 総ページ数
      346
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      9784623091942

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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