研究課題/領域番号 |
20K01806
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤原 克美 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (50304069)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ソビエト / 消費社会 / 企業社会 |
研究実績の概要 |
本プロジェクトの初年度である2020年度には、70年代ソ連の消費における企業の役割を再考することを予定していた。具体的には、住宅は、基本的には職場を通じて配分されていたと言われているが、そこに地方政府や、労働組合、党がどのように関与していたのか、さらに、住宅の交換ビュローはどのような位置づけで存在していたのかという課題に取り組んだ。予定していた現地資料収集が実施できなかったため、『Sotsiologicheskoe Issledovanie(社会学調査)』などの当時のソ連の雑誌や、欧米の研究論文を収集・消化している。自動車については、共産党やコムソモール、芸術家同盟などに追加配分する商業省の決定を確認した。 また、ソビエト経済の原型は1930年代のスターリン時代に形成されたと言われているが、第二次世界大戦から戦後直後はソ連史の中でも研究の少ない時代であり、それゆえ、スターリン体制と70年代のソビエトシステムとの関係も検討すべき課題の一つである。これについては、第二次世界大戦時代の空白を埋める作業として、Roger D. Markwick & Euridice Charon Cardonaの “Soviet Women on the Frontline in the Second World War”の翻訳を手掛けた。 さらに、本プロジェクトの最終的な目標は、この70年代ごろの「企業社会」がペレストロイカ以降にどのように変化したのかを知ることであるため、ソビエトの失敗やソビエトおよびロシアの社会の安定性を議論しているA. Katsenelinboigen、Linda J. Cook、S. Ashwinらの研究を整理している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の予定では、2020年度中にモスクワのロシア国立文書館およびロシア経済文書館で資料を収集する予定であったが、COVID-19の影響で実施できていない。さらに、国内出張もリスクが高いため、国立国会図書館本館や一橋大学、北海道大学での資料収集も実施していない。また、2021年度に予定しているアンケート調査の実施のための打ち合わせを、2020年度中にレヴァダ・センターで行う予定であったが、実施できなかった。そのため、本年度はレヴァダ・センターの研究者とは電子メール等を通じて調査計画を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
ロシア国立文書館およびロシア経済文書館での資料収集は、当面は実施できる見通しが立たないため、2020年度と同じく既存文献の発掘を進める。現地調査の可能性が見えてくれば、文書館での資料収集を行う。また、2021年と2022年に予定しているアンケートについては、メールにて協議を行い、可能な形で実施する。2022年予定のインタヴューについても同様に進める。インタヴューはオンラインを通じて日本から現地のインタヴューに参加することができると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定では、2020年度中にモスクワのロシア国立文書館およびロシア経済文書館で資料を収集する予定であったが、COVID-19の影響で実施できていない。さらに、国内出張もリスクが高いため、国立国会図書館本館や一橋大学、北海道大学での資料収集も実施していない。COVID-19が終息した段階で、2020年度に予定していた分も含めて資料収集を行う。
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