研究課題/領域番号 |
20K01806
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤原 克美 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (50304069)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ソビエト / 消費社会 / 企業社会 |
研究実績の概要 |
本研究は、1.消費における企業の役割と、2.ペレストロイカにおける改革と「企業社会」の変容、の二つに大きく分けて行う。2020年度および2021年度は1に重点を置く予定としており、当初の予定より遅れてはいるものの、1を中心に研究を進めた。 本研究では、ミクロの消費者の視点からソビエト時代の消費を検討するが、消費者の視点から捉える際には、様々な属性による差異に配慮しなければならない。それは、具体的には地域、所得、年齢、家族構成、性などによる差異であり、これらの属性によって区分しながら研究を進めた。本年度も、予定していた現地資料収集が実施できなかったため、アメリカやソ連で公表された文献を中心に研究を進めた。特に参考としたのは、ソ連時代の社会学調査をまとめたグルシンの4部作の2部(Грушин Б.А.(2003) Четыре жизни России в зеркале опросов общественного мнения. 残りの2部は未刊)と米国の議会報告書(Denton M. Elizabeth (1979) A Compendium of Papers Submitted to the Joint Economic Committee, Congress of the United States)である。消費のジェンダー的な相違についてはロシア・東欧学会において報告し、参加者から有益なコメントを得た。 また、2のペレストロイカ時代に関しては、2021年2月に塩川伸明『国家の解体:ペレストロイカとソ連の最後』(東京大学出版会)が出版された。本書のテーマは民族問題ではあるが、ソ連邦の解体過程を検討する本研究を進めるうえでも必読の書であると考える。2394頁にも及ぶ大著であるため、2021年度を通して時間をかけて検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初は2021年度もモスクワのロシア国立文書館およびロシア経済文書館で資料を収集する予定であったが、COVID-19の影響で実施できていない。レヴァダ・センターに依頼予定のアンケート調査も延期した。これらの現地調査は2022年度にまとめて行いたいと考えていたが、2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻により、ロシアへの渡航が当面困難となったため、他国での実施など代替方法を検討中である。国内では、一橋大学での資料収集を予定していたが、これもコロナ禍で中止している。
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今後の研究の推進方策 |
ロシアによるウクライナ侵攻が長期化しているため、ロシアでの研究は当面困難だと思われる。ロシア国立文書館およびロシア経済文書館での資料収集にかわるものとして、2021年度と同じく既存文献の発掘を進める。日本にも多数の文献と研究が蓄積されているが、海外で特に可能性があるのは、ソ連からの亡命者に対する調査が進んでいたアメリカである。アンケートおよびインタヴューについては、まずはメールやオンラインによる実施の可能性を検討し、それが困難だと思われる場合には、アメリカでの実施に切り替えることも検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍でロシアでの資料収集およびアンケート、インタビューが実施できなかったため。2022年度以降に、他国での実施に切り替えたり、ネットを使って実施することを検討中である。
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