研究実績の概要 |
今年度は、この10年余り懸案だったYoneyama,M.,[2012]‘The non-enrolled apprentice: skill transfer and guild regulation in early modern English provincial towns‘,の改訂に取り掛かった。その第一段階として、「近世イギリス徒弟制研究の現状と課題:近年の若干の研究から」(東京都立大大学院経営学研究科リサーチペーパシリーズ第33号)を作成した。さらに口頭報告「近世イギリス徒弟制研究の現状と課題:近年の若干の研究から」(2022年5月2日:於東京大学大学院経済学研究科経済史研究会)をおこなった。いずれも改訂途上であったが、様々な有益なコメントを得た。現在までの改訂を整理して’The apprenticeship and skill transfer in early modern English provincial towns ,with particular reference to Southampton'を仕上げる予定である。主な改訂点は、二つとなる見込みである。第一に、研究史的な点。「ギルド史研究から独立した徒弟制史研究」と言われる21世紀の研究の内、旧稿[2012]にはHumphries[2003]くらいしか含まれていなかった。それ以降の研究、とりわけ2010年代に相次いでは発表されているMokyoの一連の研究を組み込むことにする。第二は、これと関連してアソシエ-ショナルな社会の特徴と徒弟制の在り方の関連を実証的につける。さらに、18世紀のスタンプ条例の資料を用いた徒弟訓練分野の変化等の点を新たに実証的に組み込むことを改訂点としたい。これらを、今年度度中、すなわち現研究課題期間に仕上げる見通しが立った。
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