研究課題/領域番号 |
20K01811
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
川分 圭子 京都府立大学, 文学部, 教授 (20259419)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | イギリス / 近代史 / 現代史 / 砂糖貿易 / 砂糖生産 / カリブ |
研究実績の概要 |
2022年度は、論文として「ガイアナの砂糖生産の盛衰と社会の変容―8212;1840年代から現代まで―」 『京都府立大学学術報告 人文』 74号、2022年12月、53-84頁、を執筆した。 そのほか、昨年度に続き、この科研課題と以前の科研課題を縦断する内容で、一般書の出版の企画を進めており、出版社と正式に契約を交わした。この書籍については、編集者と執筆者を兼務している。2023年3月31日までに、自己の原稿20章と共同執筆者4名の原稿40章の全60章の完成稿および図版を、出版社に入稿し、現在初校が出るのを待っている。なおこの書籍の編集のため、2022年度は共同執筆者の全完成稿の査読と訂正の依頼を行い、出版社との打ち合わせ(メールにより随時、オンライン1回)、共同編者との会議(3回)を行い、書籍の章、部の構成の見直しなども、何度か行ってきた。 また2022年度は、コロナ感染のおさまりが不十分だったことやワクチン接種の遅れのため在外研究はできなかったが、関西大学、東京農業大学、京都大学桂図書館、京都大学農学部図書館、京都大学付属図書館、大阪公立大学杉本キャンパス情報センターで、19世紀末から20世紀にかけての砂糖生産技術に関する書籍、雑誌の調査を行った。これら文献調査につ いては、大学の通常の教育・研究と重なる部分が多いため、旅費・資料コピー代金の多くは大学研究費で支出した。 2022年3月25日には、科研テーマと関連するほかの研究者の書籍(田村理『人権論の光と影―環大西洋革命期リヴァプールの奴隷解放戦争』北海道大学出版会、2021年12月)の書評・コメンテーターを近世イギリス史研究会で行い、他研究者との研究交流を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
英領カリブ世界については日本社会ではほとんど知られていないため、前回の科研と今回の科研の成果を一般書として出版し日本社会に研究成果を還元したいと考え、このような地域研究の一般書を、エリアスタディーズというシリーズで出している明石書店から出版する計画を立てていた。2022年度の間に、自分と共同執筆者すべての完成原稿を出版社に入稿することができた。現在出版社側の業務多忙により、初校はまだ出ていないが、おそらく2023年以内には出版できる見込みである。また、より専門的な内容の単著論文を執筆し、イギリス領ガイアナの19世紀後半から現代までの砂糖生産体制がどのように変遷したか、それが脱植民地化時代のこの地域の社会と経済にどのような影響を与えたか、具体的に明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は最終年であるが、2020-22年の3年間予定していた海外資料調査が行えなかったため、予算に大幅な剰余が生じている。一方で研究は、この分野の一般書の出版に向けての調査・執筆は順調に進捗したが、専門的レヴェルでの調査活動・執筆活動は不十分なため、研究期間の1年延長を行う予定である。 具体的な活動としては、①一般書の出版までの作業を進め、出版を持ってこの作業を完了させること、②国内・海外での資料調査を行い、単独の研究活動を進め、論文を執筆すること、を行う。②については、2022年度後半に国内の複数の大学図書館で収集した19世紀末から20世紀の砂糖生産技術の発展にかかわる資料の整理と論文の執筆をまず進め、その後、これらの生産技術の発展の結果生産地にどのような社会・労働環境・生活の変化が起こったかを示す資料を探索し、収集していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまで3年間コロナのため海外出張が全く行えなかったので、次年度に海外出張を行う計画である。また、次年度は最終年度であるが、研究期間を1年延長する予定である。
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