研究課題/領域番号 |
20K01812
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研究機関 | 青森大学 |
研究代表者 |
沼田 郷 青森大学, 総合経営学部, 教授 (10398977)
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研究分担者 |
山下 雄司 日本大学, 経済学部, 准教授 (10551004)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 光学産業 / 栃木県 / 長野県 / 北條光学 / 疎開工場 / カメラ生産 / 八陽光学 / 岡谷光学 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本における光学産業の発展および東アジア地域への国際移転プロセスの解明とモデルの構築を目的とし、以下の二つの課題を設定している。第一の課題は、「技術の受け手」という側面に着目し、主に欧州から輸入した光学技術が日本国内でどのように習得・蓄積され、光学技術の形成・発展に結実したのかを明らかにすることである。 この点に対し、栃木県を事例とした光学産業の形成過程に関する研究を進め、論文を執筆中である。コロナ禍の影響により、十分な聞き取り調査ができておらず、夏までに短時間での聞き取り調査を実施し、脱稿する予定である。また、栃木県光学産業の発展過程に関しても、夏以降に聞き取り調査を複数回実施し、本年度末を目途に脱稿予定である。 研究分担者は、同課題に対し以下のように学会報告を行った。2020年4月18日(政治経済学・経済史学会)、テーマ:「第二次世界大戦後における疎開工場によるカメラ生産の意義ー八陽光学・岡谷光学の事例ー」。また、「光学産業における疎開工場の意義ー日本光学の塩尻への疎開と八陽光学によるカメラ生産ー」を執筆している(横井勝彦編『冷戦期アジアの軍事と援助』日本経済評論社、2021年所収)。 第二の課題である光学産業の東アジア地域への移転プロセスに関しては、コロナ禍のため海外調査を実施できておらず、研究実績に乏しい。新型コロナ感染症が収束し、海外調査が可能になり次第、最優先課題として海外調査を実施し、第二の課題に関する業績を積み上げる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の第一の課題に関しては、コロナ禍の影響を受けながらも、研究遂行上の被害を最小限に抑えている。また、研究成果に関しても実績、見通しともに研究計画通りに推移していると言えよう。新型コロナ感染症が収束し、聞き取り調査等が可能になれば、研究推進力はさらに向上する。 第二の課題に関しては、台湾、中国等への調査を基本とした研究計画になっているため、大きな影響を受けている。「やや遅れている」とした主たる理由はここにある。本年秋を目途に海外調査の実施可能性を見極めたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では、聞き取り調査を実施する諸環境を整えておき、新型コロナ感染症のリスクが十分に低下したところで、国内外の調査を即座に開始したいと考えている。一方で、リスクが十分に低下しないことも考慮し、聞き取り調査を代替するアンケートやWeb会議ツールなどを用いた調査も取り入れる。研究期間の延長も視野に入れつつ、研究を遂行していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の影響を受け、聞き取り調査および資料収集等を目的とする出張が実施できなかったことが最大の理由である。本研究は国内外での調査を計画しているが、前年度は出国そのものが認められなかったため、海外調査を実施することはできなかった。また、国内出張に関しても、研究分担者の勤務地は東京であり、光学産業や研究対象となる企業の多くは首都圏に立地していることも影響している。 今年度も前半に関しては各種出張は困難であると思われる。現時点では、聞き取り調査先を確保し、調査の環境を整えておき、国内外の出張が可能となり次第、最優先で調査を実施する。
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