研究課題/領域番号 |
20K01815
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
門 闖 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (00513053)
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研究分担者 |
加島 潤 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (50463899)
小原 篤次 長崎県立大学, 国際社会学部, 准教授 (00291039)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 中国経済 / 対外直接投資 / 対外金融 / 投融資制度 |
研究実績の概要 |
令和2(2020年)年度は、プロジェクト開始初年度として、資料収集および研究会の立ち上げを中心に研究活動を実施した。コロナ禍で、現地への資料収集が制限されている中、日本で入手可能な関連資料を中心に資料の解析に着手した。また海外にいる研究協力者を含めてオンライン方式の交流会を開き、資料の所在を確かめることを中心に意見交換を行った。研究分担者2人を含めて共著1、雑誌論文2本、学会報告2回の研究実績を挙げている。 『米中経済戦争と東アジア経済』という共著では、中国国内の投融資制度に着目し、それに規定される対外直接投資の特徴と周辺地域への影響を分析した。研究分担者である小原は、東南アジアにおける中国の対外直接投資を対象に、自動車産業に焦点を当て、現地調査で得られた視点に基づいて中国企業の海外投資活動の行動パターンを明らかにした。これらの研究はいずれも、対外直接投資に焦点を当て、中国経済の制度的特徴と中国企業の行動パターンを究明しようとするものである。 またこれらの研究を通じ、既存の研究視角を改めることができ、長期的に中国経済の対外関係を考察するには、政治決定や政策の転換以外にも、中国と海外とのリンケージおよびネットワークの重要性を再認識することができた。特にこれらのネットワークの存在は多くの場合、華人や華僑など血縁、地縁の関係性によって結ばられたものであり、イデオロギー対立といった政治・安全保障上の構造問題よりも長期的な影響をもつ可能性が高いと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プロジェクト開始初年度に、コロナ禍の影響をうけ、予定していた現地への資料収集は、完全に実現できなかった。そのため、日本でも入手可能な資料の解析を中心に、当初の課題関心よりやや広い視野で、長期にわたる中国経済の対外関係の構造的特徴を明らかにする分析に研究対象の範囲を広げようとしている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染状況を注視しながら、現地での資料収集が可能となる研究の進め方および資料収集を実施できない時における研究の進め方を考案する。 資料収集が可能となる場合では、銀行資料の収集整理を中心に研究計画で示した中国銀行業海外支店のネットワークに関する研究を優先的に進める。資料収集ができない場合では、当初の問題関心より広い視角に立って、1950年代を通じた中国対外関係の展開過程に関する史的研究を行う。 また新型コロナ感染症の影響があるとはいえ、海外にいる研究協力者を含め、電話やオンライン方式などで意見交換や研究集会を行うことができるため、次年度も8月、2月の研究集会に向けて、研究分担者と緊密に情報共有を図りながら、研究論文の作成と公表を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に現地調査を実施できなかったため、次年度使用額が生じた。翌年度の助成金と合わせて研究分担者と調整したうえで、一部を資料収集・研究会の旅費として計上するが、既成版のアーカイブ資料などを購入することにあてる計画である。
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