研究課題/領域番号 |
20K01820
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
石 瑾 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (70403227)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 新興市場発多国籍企業(EM-MNEs) / エコシステムの構築 / 二重の国際化 / Parenting advantage |
研究実績の概要 |
本研究は、近年グローバル市場において大きな躍進を遂げてきた新興市場発多国籍企業(EM-MNEs)にフォーカスし、事例研究の手法を用いてこれらの企業の競争優位構築のプロセスおよびメカニズムを解明しようとするものである。過去の一年間において、次の三つの課題を中心に研究活動を行ってきた。 第一に、2020年度に行ったShangdong Ruyiグループの調査を踏まえ、当該企業の国際戦略を分析する英論文を二本執筆した。具体的には、一つは、EM-MNEsの海外進出後の拡張戦略を分析したものであり、もう一つは、EM-MNEsによる、買収を通して他企業の親会社になることで享受した優位、いわゆる「parenting advantage」について論じたものである。これらの論文は国際ジャーナルInternational Journal of Retail & Distribution Managementに掲載済みである。 第二に、EM-MNEsの代表的な企業アリババ・グループの事例を取り上げ、当該企業の国際戦略を分析することによって、EM-MNEsによる「二重の国際化」について議論した。この研究成果をまとめた論文(二本)は投稿し、現在査読中である。 第三に、研究計画調書で設定したもう一つの企業、ショオミを対象にインタビューを実施し、当該企業のエコシステムの構築プロセスについて調査した。この事例をまとめた論文は、現在執筆中である。 このように、過去の一年間で、当初の計画通りに研究を進め、EM-MNEsのエコシステムの構築プロセスおよびそれによる競争優位の獲得メカニズムについて分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論面においては、研究計画調書の通り、「新興市場発の多国籍企業(EM-MNEs)理論」と「エコシステム理論」について先行研究を整理し、既存理論の発展の流れを把握するとともに、本研究の理論的土台を整えてきた。 調査においては、コロナの影響で、当初予定していた現地調査は実施できなかったものの、対応措置として海外学者と連携し新たな研究対象を取り入れたり、オンラインでインタビューを実施し、データ収集を進めてきた。 限られた条件で多数の研究成果を挙げたことを鑑み、「概ね順調」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、以下の三点に注力し、さらに研究を進めていくことを考えている。 第一に、コロナの感染状況を鑑みながら、できるだけ早いうちに現地調査を実施する。 第二に、理論的検討をさらに進め、EM-MNEsの競争優位を説明するための理論枠組みを構築する。 第三に、学会発表や論文投稿を通して、研究成果を積極的に発信する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナのため、予定していた海外調査は実施できなかったため、次年度使用額が生じた。今後、海外の感染状況を見極め、できるだけ早く現地調査を実施する予定である。
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