研究課題/領域番号 |
20K01822
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
藤原 孝男 豊橋技術科学大学, 総合教育院, 教授 (70173490)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | バイオスタートアップ / AI(人工知能) / 創薬 / インド |
研究実績の概要 |
研究の背景として、バイオ創薬スタートアップは製薬大企業に比較してスピード・コスト・柔軟性に優れるが、医薬開発の長期化・巨額投資化・成功確率低下でデスバレーに直面し、世界的にほとんどが赤字である。それに対して、現在、AI応用による探索の迅速化が期待され、インドのAI人材の蓄積が注目されている。特に、本年度の目的は、大学・スタートアップ等でのスター人物を抽出し、AI創薬等の学習オプション機能による価値の創造を推定することにある。 コロナワクチンの開発においても、mRNAワクチンのModernaやファイザーと共同開発したBioNTech、ウイルスベクターワクチンでのAstraZenecaと共同開発したOxford Univ.発のVaccitech、J&Jの子会社Janssen Vaccinesなどはスタートアップの役割の重要性を示している。 インドの主要拠点バンガロールでの国立インキュベーターC-CAMP(Centre for Cellular and Molecular Platforms)には約20社がインキュベーション施設に入居しており、感染症の研究のBugworks、バイオインフォマティクスのStrand Life Sciences、感染防止技術のBiomoneta Research、がん治療のCellworks、難病治療のAten Porus Lifesciencesなどが代表的企業で、論文・特許データにて中核的人物を特定した。 同じくバンガロールにて、生命科学にAIなどを応用している実践的スタートアップ例として、診断にAIを応用するSigTuple、オンライン心電図解析のTricog、乳癌AI診断のNiramai、VR(仮想現実)ベースで視点を追跡する眼科医療のCyclops MedTechなどが挙げられ、やはり論文・特許にて中核的人物を特定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象とするバイオスタートアップの多くは株式未公開企業で財務データの情報は入手困難である。 また、コロナ禍にて当初、予定していた現地視察が困難となり、情報収集にも制約がある。 しかし、インドの主要大学の研究者とZoom等で研究・国際会議発表などに関して情報交換を継続している。 バイオ創薬におけるAI応用による学習オプションの価値評価の際には、AIの使用・非使用の間での比較が必要であるが、ベンチマークの探索中である。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍での現地視察が困難な状況下でも、現在、IISc(Indian Institute of Science)、IIT(Indian Institute of Technology)Delhi、IIT Bombay、IIM(Indian Institute of Management) Bangaloreの研究者と良好な関係が維持・構築され、電子メール・Zoomでの連絡・会合開催を実施している。この方法を継続・発展させたい。 財務データについては、インド国内の株式公開企業のデータを基礎に、未公開株式の価値の評価、IPO・M&Aの際の評価の推計を行いたい。また。米国・欧州・日本での類似事業での事例を基礎に推計を試みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は初年度で、当初はインドへの現地調査や国際会議現地会場への参加も計画していたが、新型コロナウイルス禍にて渡航が困難となった。 そのため、予定より使用金額が減少した。今後は、コロナウイルス禍の収束が見込まれれば現地調査・国際会議に向けた渡航も計画したいし、それが困難な場合は、研究成果の公開にも使用を検討したい。
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