学術的意義としては、1970年代以降の製造業において顕著な動きをみせた国際分業などの傾向について、台湾の自転車企業の興隆と国際展開に着目することでアジアの企業側からの視点から検討を行なった。特に経営史の領域においては、オフショア生産や生産機能の切り離しを行った側のアメリカ企業に視点を置いたいわゆるポスト・チャンドラーの議論があるが、この議論に対するアジア側からの回答を提示することが意義となる。 社会的意義としては、国際分業体制において成功を収めている台湾自転車企業を検討することが、いわゆる水平分業体制において遅れをみた日本製造企業に何らかの示唆を与えることができると考えられる。
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