研究課題/領域番号 |
20K01837
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
大西 純 横浜市立大学, 国際マネジメント研究科, 客員教授 (60447109)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 異文化間職場摩擦 / 在アジア日系企業の人材マネジメント / 在タイ、ベトナム日系企業の現地化 |
研究実績の概要 |
今研究はアジアに進出している日系企業で現地従業員と日本人管理職との間に発生する異文化摩擦に基づく業務上の非効率な関係を解消する施策を提言するものである。アジアに進出している日系企業は製品の価格競争では劣勢に立たされており、原価の高騰、技術力の類似化等によりこれ以上製品価格を下げることができないのが現状である。現在製品価格の見直しに唯一効果が期待できるのは業務効率の向上化によるコストの見直しである。多くの日系企業ではこの点から日本人管理職より人件費削減につながる現地従業員により多くの権限を委譲して現地化を図っているが働く文化の違いから意思疎通がスムースに運ばず、逆に現地従業員の大量退職等の問題を生じており遅々として現状が改善していない。本研究ではこの点に着目して日本人管理職と現地人従業員調査が職場でお互いに誤解や反感を生むような職場摩擦を分析して、その解消策を現地日系企業に推奨することとしている。異文化摩擦を明確化するために現地にてアンケート調査を行いその結果を量的調査として統計分析している。すでにこの調査は2007年より行っており、タイ、ベトナム、中国。インドネシアで2000人以上の現地従業員、日本人管理職からアンケート調査結果を取得しており分析の結果、学術論文、著書、学会発表等で紹介した。現在は最終段階である調査結果を学会発表等から修正した異文化間職場摩擦解消策を実際の企業に提示してその効果を検証する段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今研究はアジアに進出している日系企業で現地従業員と日本人管理職との間に発生する異文化摩擦に基づく業務上の非効率な関係を解消する施策を提言するものである。調査は現地にてのアンケート調査を中心としてその結果を量的調査として統計分析するものである。すでに2007年より数回の現地調査結果から異文化間に起こりうる職場摩擦の原因分析を終え、その防止策を現地にて面談等を通じてその効用性を検証するまでに至っていた。そこで2020年後半よりこの検証のために、在タイ、ベトナムの日系企業数社で日本人管理職、現地人従業員との面談を予定していたが、コロナ感染症の蔓延のためすべて中止されてそのまま2022年までに至った。その間は現地調査のための現地訪問も全くできずオンラインでの面談も試みたが有効な結果は得られなかった。2022年度は辛うじて現地訪問が可能となった。しかしながら在外企業と面談は一切受け入れられなかったので方針を転換して在タイ日系企業の動向に精通しているタマサート大学、カセサート大学及びマヒドン経営大学院の教員に異文化従業員間の職場摩擦防止策の効用について面談することとした。まずタマサート大学GEMBAプログラムのシュワルチェック教授からは調査対象をより絞り込んでアンケート調査に使用した調査票の再分析をするように指示を受けた。カセサート大学KIMBAプログラムのハルタイ准教授からは防止策は有効と思えるがやはり日系企業での面談の必要性を指摘された。マヒドン経営大学院パラッパ准教授からは学会での共同発表を提案された。これらの指摘から2023年度は調査結果のSPSSによる再分析在タイ日系企業での面談、およびパラッパ准教授との共同発表を中心に研究を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本調査の趣旨は海外特にアジアに進出してい日系企業における異文化の職場摩擦を現地におけるアンケート調査結果に基づいて分析して異文化間職場摩擦を解消する施策を提言するものである。この提言は日系企業の現地化に貢献してコスト削減を可能にする重要な提言と考えている。すでに提言策はまとまっているが、最終作業として現地企業での異文化摩擦解消策の効果の検証である。しかしながら過去3年間において全く現地企業の面談等の協力を得ることできず現在に至っている。このような状況を看過しているわけにはいかず、以前、アンケート調査に協力してくれた日系企業に面談を申し入れているがコロナの再感染を恐れて面談には消極的である。まず現在ある程度可能性のある企業としてダイセル社が上がっている。ダイセル社は化学製品の大手企業でタイ、ベトナムにも支社があり以前積極的に協力してくれた方が役員としてマレーシアに駐在されておりその方を通じてタイ、ベトナムとと日本人管理職、現地人従業員との面談を依頼している。また今回は今研究の異文化職場摩擦解消策の検証のみならず、コロナの蔓延によるオンライン勤務等の実施により異文化間の職場摩擦のどのように変化したか確認していきたいと思う。研究者は直接接しないオンライン勤務により異文化間の職場摩擦は減少していると推察していたが、前述のマレーシア駐在のダイセル社の役員によれば必ずしも減っておらず、かえって増えているように感ずるとのことぜひこの辺も検証してみたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症のため2022年第2四半期まで海外出張ができず。第3四半期より可能になったが当研究の主目的である在アジア日系企業側から面談を受け入れてもらえずフィールド調査を延期することとなりその予算が持ち越しとなった。
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