研究課題/領域番号 |
20K01841
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
久保 亮一 京都産業大学, 経営学部, 教授 (80339754)
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研究分担者 |
沈 政郁 京都産業大学, 経済学部, 教授 (70706499)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 経営戦略 / 分社化 / コーポレート・アントレプレナーシップ / 家族企業 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「どのような要因によって日本企業が分社化戦略を実行するのか」、そして「その分社化戦略が業績にどのような影響をもたらすのか」を定量的・定性的に検討することである。2020年度は、1つめの課題である分社化を行う理由について、以下の取り組みを実施した。 第1に、わが国における分社化研究の先行研究をサーベイし、研究課題を検討する作業を行った。なぜ分社化するのか、という要因として、分権化要因、成長・リスク分散要因、内部労働市場要因が取り上げられてきたことを確認した。また、コーポレート・アントレプレナーシップと家族企業の分野の文献サーベイを行い、分社化行動に関連する概念や独立変数を抽出しはじめた。 第2に、1955年から2017年までのすべての上場企業のデータを用いて、分社化要因を定量的に検討した(財務データ、分社化のアナウンスデータ、役員関連のデータ)。伊藤・菊谷・林田(2003)が述べているように、多様な分社化要因を同時に検討した推計モデルを採用している研究は存在しない。日本企業が分社化する際に、その目的が複数存在することも考えられるため、多様な分社化要因を同時に推計する意義がある。現在はこれらの結果をまとめている段階にある。 第3に、親会社や子会社の経営陣を対象にインタビュー調査を実行することを計画したが、コロナの状況により予定通り進めることができなかった。インタビュー調査をもとにした定性分析によって、定量分析で見出された分社化要因を確認するため、コロナ感染の状況を見ながら実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は、「どのような要因によって日本企業が分社化戦略を実行するのか」という問いについて取り組んだ。2020年度に行ったことは、①分社化戦略の実行要因に関連する先行研究の検討と②定量分析の実施である。 ①に関しては、先行研究の文献から研究課題を検討する作業を行った。なぜ分社化するのか、という問いに関して、既存研究の整理を行った。さらに、コーポレート・アントレプレナーシップ、家族企業の分野からの検討に着手しはじめた。②に関しては、データをクリーニングする作業を終え、実際に定量分析を実行している。 だが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、定性調査に向けた準備や実施の遅れが見られる。今後の先行きが不透明ではあるものの、可能な状況になれば取り組んでいく。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には研究計画に沿いながら研究を進める予定である。第1に、コーポレート・アントレプレナーシップ分野における定量分析を用いた先行研究をサーベイし、どのような概念および変数作成の方法を取っているかを検討する。第2に、新たな変数を作成しながら定量分析をさらに実施する。第3に、状況が許せば定性調査に向けた準備と実施を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染拡大の影響により、海外学会参加に関する旅費の支出が行えなかった。2021年度には、海外学会参加および聞き取り調査について計画・実施を考えている。
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