研究課題/領域番号 |
20K01856
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
李 在鎬 広島市立大学, 国際学部, 教授 (40342133)
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研究分担者 |
平野 実 県立広島大学, 地域創生学部, 教授 (00405507)
菊池 航 立教大学, 経済学部, 准教授 (00710724)
富山 栄子 事業創造大学院大学, 事業創造研究科, 教授 (40449426)
塩地 洋 鹿児島県立短期大学, 学長, 学長 (60215944)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自動車産業 / グリーンシフト / 電動化 / 移行期 / 適応戦略 / 創発的戦略 / 範囲の経済 / 先行者投資 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、自動車産業のグリーンシフト(脱炭素化)の動向とその背景にある、技術環境、政治・法律・制度環境について研究を行い、以下の成果を得た。 李は、近年電気自動車や水素燃料電池車市場で頭角を現している韓国の現代自動車グループのグリーンシフト移行期への適応行動の特徴をまとめ、既存の自動車メーカーによるエコカー開発と市場投入におていは創発的戦略、範囲の経済、パートナーシップと先行者投資軽減が重要であるということを摘出し、その含意について国内学会で発表した。また、李は自動車燃料として植物由来のエタノールが併用可能なフレックスが9割を占めるブラジルの新車市場で、世界初のハイブリッド・フレックスを投入し成果をあげているトヨタ・ブラジルの事例を取り上げ、発見事実について紀要論文として掲載した。同研究はグリーンシフトの移行期にみられる経営環境の複雑性と多様性を例証するものである。 富山は、リサイクル企業の会宝産業の国際化を通じた競争優位構築プロセスを分析し、単なるEV化ではなく、サプライ・チェーンレベルでの脱炭素化の重要性を示唆した。また、インドネシアにおけるライドシェアリングが社会・経済へ与えた影響についてまとめ、自動車産業のサービス化のトレンドが先進国市場に限らない現象であることを検証し、その意義について紀要論文として掲載した。塩地は、日欧米の従来型車の販売流通経路を支えてきたフランチャイズシステムの問題点を明らかにし、その変革の方向性を提示し、研究書として刊行した。平野はドイツの経営システムの変遷過程を明らかにし、紀要論文として発表したが、同研究は日中韓自動車メーカーの制度的環境を相対的に捉える上で資するものである。菊池は、東北地方の自動車産業集積の方向性、及び新型コロナ禍でのサプライチェーンに関する研究論文を著し、本研究課題を深めつつ、新たな問題意識を提示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者及び分担者とも研究計画に基づいた遂行を心掛けているが新型コロナの感染拡大により、国内及び海外調査が困難となった。 そこで、文献など2次データーの分析が中心となった。これに伴い研究費配分においても 使途変更や繰り越しを通じ、調整しつつ、進めてきたものの、全体的には遅れていると言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度の前半においては、文献レビューに注力しつつ、後半は、コロナ禍が収束し、実地調査環境が改善すれば、海外調査を中心に進める。 令和4年度は、前年度における進捗度を踏まえ、限られた時間に優先順位の高い研究に集中する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は新型コロナウィルスの拡散により、計画していた国内及び海外実地調査を遂行することができなかったため、次年度使用額が生じた。令和3年度の後半に、新型コロナウィルスのパンデミックが収束した際には、計画的、かつ集中的に調査活動を行う予定である。また一部旧型備品において必要な更新を行うのに予算を執行する。
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