研究課題/領域番号 |
20K01861
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
臼井 哲也 日本大学, 法学部, 教授 (60409422)
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研究分担者 |
星田 剛 安田女子大学, 現代ビジネス学部, 教授 (60846830)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ビジネスモデル / 国際マーケティング / 多国籍企業 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は,ビジネスモデルの国際化プロセスの一般理論を開発することにある。情報通信技術の進化が加速する現代,ビジネスモデルに基づく市場開発は小売業やデジタル産業のみならず,自動車,金融,医療などの伝統的な業界においても拡大している。しかしビジネスモデルによる国際市場開発は容易には進まない。本研究は,国際ビジネス理論を応用し,国境を越えるビジネスモデルの定量的でかつ動態的な分析を通じて,国際化に成功するビジネスモデルに共通する要素(制度要因,組織能力,適応化のための学習プロセス)を導出し,ビジネスモデル国際化の一般理論を開発する。かかる目的の達成のため,本年度は定量分析の一環として大規模データベースの構築に着手した。感染症拡大の影響により,作業のスピードはやや鈍ったものの,当初予定通り研究活動を遂行することができた。
具体的には,過去30年間の期間において日本市場へ海外から参入を試みたビジネスモデルの全数リストを作成した。オンライン記事データベースを活用し,キーワード検索で〇万件(現時点では非公開)記事を抽出した。次にそれらをすべて手作業で確認し,日本市場へ参入を実際に行った(計画ではなく)企業名,ビジネスモデル名を△件(現時点では非公開)に絞り込んだ。次年度以降はこれらを母集団として「ビジネスモデルの国際化プロセス」に関するデータの網羅的な収集に努めたい。そのうえで国際化プロセスの一般理論の開発に着手したい。尚,本年度は成果物としては過年度から取り組んでいたケース論文の出版があったものの,本予算による新たな研究成果とは言えない。本研究課題の予備的な考察としては活用できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
感染症の影響はあったものの,柔軟に計画を変更し,大規模データベースの構築を遂行している。これまで新しいビジネスモデルが日本市場へ参入を繰り返してきたが,それらを分析するためのデータセットが存在していなかった。本研究課題により,過去30年間において,約△件(現時点では非公開)の企業ないしはビジネスモデルを特定することができた。次年度はこの母集団を一つひとつ具に観察することを通じて,その成功要因と失敗要因の抽出を行う。以上より,本課題はおおむね順調に進展していると結論付けることができる。
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今後の研究の推進方策 |
感染症の影響にて,これら△件(現時点では非公開)の企業への対面での取材は制限される。そこでまずは2次データの収集によるデータベースの拡充を図る。そして可能な限り,Zoom等のビデオ会議システムを活用し,インタビュー調査を実施していく。また2次データが整理できた時点でその傾向に関する予備的考察を学会等で報告する。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症拡大の影響により,当初予定よりも大規模データベースの精査,追加のデータ収集の作業に多くの時間を要するため。またデータの質確保のため,その収集方法に新たな工夫が必要となることも判明している。
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