• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

職場の人材育成に対する人事部門の関与が機能する条件

研究課題

研究課題/領域番号 20K01862
研究機関法政大学

研究代表者

佐野 嘉秀  法政大学, 経営学部, 教授 (40345111)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード昇進選抜 / 教育訓練
研究実績の概要

本研究は、職場の人材育成に対する人事部門の関与が機能し、企業としての人材育成の方針や目標がライン管理者の人材育成行動(OJT等)として実行される条件の解明を試みるものである。このような研究課題に関して、ライン管理者の人材育成行動、とりわけ部下の昇進に向けた人材育成上の支援は、人事部門の関与する昇進選抜のタイミングに関わる企業の選択や、人材育成の対象となる社員の昇進に向けた能力向上意欲による影響を受けると考えられる。さらにそうした社員の能力向上意欲は、自社の昇進選抜のタイミングからも影響を受けると考える。既存研究は日本企業の昇進選抜のタイミングが「早く」なる傾向を指摘する。こうした変化は、ライン管理者の人材育成行動や、社員の昇進に向けた能力向上意欲に影響を与えている可能性がある。本年度は、こうした問題関心をもとに、日本企業を対象とする既存アンケート調査の再分析にもとづき、研究成果「『遅い』昇進選抜からの意向と昇進意思・教育訓練」を公表した。同論文の分析によれば、現在の日本企業では、決定的な昇進選抜の時期がキャリアの相対的に早いタイミングで現れる「早い」選抜への移行がある程度、進んでいる。こうしたなか「第一選抜」の社員の選抜や管理職層への選抜に関して「遅い」選抜を保つ企業と、より「早い」選抜を選択する企業とがあることが確認できた。このうち「早い」選抜の企業ほど、管理職層への昇進意思をもつ社員が入社後の早い時期により少数となる。こうした「早い」選抜の企業も含め、企業が提供する職場での人材育成(OJT)や off-JTなどの教育訓練の機会は、管理職層への昇進意思をもつ社員に重点的に与えられている。このような事実発見をふまえ、「早い」選抜の企業では、管理職層への昇進意思をもち、企業が充実した教育訓練の機会を与える社員が入社後の早い時期により少なくなる可能性がある点を指摘した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2021年度は、2020年度から引き続き研究課題に関する先行研究のレビューを進めるとともに、本研究のテーマの一つである人材育成に関し、既存アンケート調査の個票データをもとに再分析を行い、その成果を論文として公表した。ただし新型コロナウィルス感染拡大の影響を踏まえ、企業事例へのインタビュー調査(予備調査)の実施を見送った。対面での調査実施に伴うインフォーマントを含めた感染リスクを避けるほか、在宅勤務の急速な普及等により本研究のテーマと関わる職場での人材育成の状況が流動的であると判断したためである。以上を総合的に判断して、現在までの進捗状況について「(3)やや遅れている。」という自己評価とした。

今後の研究の推進方策

2021年度に引き続き、先行研究のレビューを行い、既存研究を踏まえた調査分析枠組みの検討を行うともに、既存アンケートの個票データを用いて、人材育成や、人事部門とライン管理者の関係に焦点を当てた再分析を行う。さらに2021年度に実施を見送った企業等へのインタビュー調査を行い、研究課題に関する資料収集を進める。調査先には、研究の趣旨・公表の方法等を丁寧に説明し、十分な同意を得たうえで調査を実施する。

次年度使用額が生じた理由

2021年度は、新型コロナウィルス感染拡大の影響を踏まえ、企業事例へのインタビュー調査の実施を見送った。これに伴い、計画段階では予定していた調査実施に伴う国内旅費やインタビュー結果のテープ起こし作業の委託費等の支出を行わなかったため、次年度使用額が生じている。2022年度は、新型コロナウィルス感染拡大の状況を踏まえつつ、順次、オンラインでの実施も視野に入れてインタビュー調査を実施することで、2022年度分とあわせて次年度使用額分の助成金を有効に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 「遅い」昇進選抜からの移行と昇進意思・教育訓練2021

    • 著者名/発表者名
      佐野嘉秀
    • 雑誌名

      経営志林

      巻: 第58巻 ページ: 1-15

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi