研究課題/領域番号 |
20K01865
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
福島 淑彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80367680)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 障害者雇用 / スウェーデン / 特例子会社 / 雇用の量 / 雇用の質 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、障害を持つ労働者(以下、「障害者」と記す)の雇用に関するスウェーデン企業の取り組みを検証することによって、日本企業による高い水準での障害者の「雇用の量」と「雇用の質」を同時に実現するために必要な障害者向けの職種、働き方、人事管理制度を導出することである。 2021年度は、2020年度の行った特例子会社に関する情報のアップデートと新たに設置された特例子会社 (2020年6月時点で544社、2021年6月時点で562社)に関する情報整理を、ホームページや有価証券報告書などの公開情報(資料)を基に行った。特例子会社によって、公開されている情報にばらつきがあるため、メール等で問い合わせを行い情報収集に努めた。その上で、特例子会社の所在地域(都市部、地方)、障害者との雇用形態、障害者が従事している職種、障害者の賃金水準や福利厚生の状況、障害者に関する雇用管理制度、などについて、特例子会社の全体像が把握できるような俯瞰図を作成した。さらに、東京近郊で特色のある障害者雇用を行っていると思われる特例子会社を数社訪問し、インタビュー調査による質的調査を行うと同時に、公開情報の特例子会社の状況と実際の状況に乖離があるのかどうかを確認する作業を行った。 スウェーデン企業については、ホームページ、Annual Report、emailによる問い合わせなどによって情報の整理を行った。しかし、コロナ禍の影響で、当初計画していたスウェーデン企業へのインタビュー調査やアンケート調査を進めることができなかった。 また、障害者雇用と社会厚生に関する理論モデルを構築した。同モデルで、障害者を雇用することが社会の総生産量を増加させ、社会厚生水準を高める可能性があることを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
最も大きな理由はコロナ禍の影響で、計画していたスウェーデンでの現地調査(インタビュー調査やアンケート調査)を全く行うことができなかったことである。さらに、日本の特例子会社についても、コロナ禍のためインタビュー調査やアンケート調査への対応が困難という企業が多数あったことが計画通り研究を進めることができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究は下記を行っていく。 (1) 特例子会社及び特例子会社の親会社に関するアンケート調査とインタビュー調査による情報収集を行う。 (2) 障害者の多く雇用しているスウェーデン企業に対して障害者雇用の状況に関してアンケート調査とインタビュー調査による情報収集を行う。 (3) (1)及び(2)で収集した情報・データを基に、統計分析、計量分析を行い、障害者の「雇用の量」と「雇用の質」に影響を与える要因の特定を試みる。 (4) 障害者雇用と社会厚生に関する理論モデルの拡張と精緻化を試みる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に加え、2021年度も計画していたスウェーデンでの現地調査を、コロナ禍の影響で全く行うことができなかったため。
|