研究課題/領域番号 |
20K01867
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
具 承桓 京都産業大学, 経営学部, 教授 (20367949)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 不確実性 / グルーバル・サプライチェーン / GSCM / 地政学リスク / GVC |
研究実績の概要 |
本研究は、日韓自動車及び部品企業を対象に国際比較の観点から、企業と取り巻く外部環境要因としての地政学リスクが、グローバル生産ネットワーク(GPN:Global Production Network)、グローバルサプライチェーン(GSC)の形成・構築・変貌にもたらす影響と、技術統合期における戦略的提携関係にもたらす企業行動(戦略的対応)のパターン、そのメカニズムなどについて明らかにすることである。 新型コロナ感染拡大とその影響の中、現地調査を行うことができなかったが,少し関連する研究として以下のの成果を出した。2021年度の研究業績としては,これまでの研究成果の知見などを踏まえ,イノベーションに関するテキストと論文2編,その他1編を執筆した。 まず,テキスト『イノベーション入門』(新世社,共著)の全13書の内,第1~4,11,12章を担当し,デジタル革命とEV化,CASE革命の中で主要なイノベーション理論を解説と事例分析,特に,不確実性の観点からイノベーション活動とGSCMへの影響などについて概観した。次に,中国後発バッテリーメーカーCATLの成長戦略について,SCMと生産能力拡張という側面に焦点を当てて,後発企業が技術力を向上しながら世界1のバッテリーメーカーに成長できた要因について分析を行った。もう1つは,日本企業の競争力低下が著しい中,危機に対するリーダーシップの問題と,危機克服のためのリーダシップのあり方について論じる「ビジネスにおける危機の醸成と克服のリーダーシップ」を執筆した。最後に,グローバル化経済の深化とエネルギー資源およびバッテリー関連の原材料の争奪戦といえる世界経済の急速な変化の中,高まる船舶需要と市場変動について分析,日本の造船産業及び各社のポジションと戦略,そして東アジアにおける分業体制の可能性について分析を加えた「日本の造船産業の現況」を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の感染拡大とそれによる影響により、定性データ収集のための企業や関係者、当該地域の関係者などを対象とするフィールド調査、ヒアリング調査は全然できていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は,COVID-19の感染拡大やその影響の中でも昨年よりは,実態調査が可能性があると思われるが,予断を許せない。したがって、可能な限り,フィールド調査を実施する。また,研究テーマの具体的な研究課題の遂行のため,(1)地政学リスクとサプライチェーン、(2)企業の意思決定とリスクマネジメント、などを中心に引き続き文献レビューを行いつつ,経営学の歴史主義の観点を取り入れたレビュー論文の執筆と,研究課題に関する具体的なロジック及びメカニズムを探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響による現地フィールド調査ができなかったため。定性データの収集のためのインタビュー調査(海外及び国内),学会や研究会での成果発表,レビュー論文の作成などを重点的に行う予定である。
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