研究課題/領域番号 |
20K01869
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
三島 重顕 大阪経済大学, 経営学部, 教授 (60454930)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 薬局経営 / 薬剤師 / 職務満足 / 専門能力の発揮機会 |
研究実績の概要 |
2020年度は、大手調剤薬局の経営戦略に関する論文、「後発薬の普及が調剤薬局企業に与える影響(3)-クオールホールディングスの事例」を執筆・公刊した。これにより、調剤薬局の市場シェア首位のアインホールディングス、2位の日本調剤、3位のクオールホールディングスと、上位3社すべての経営戦略を明らかにすることが出来た。 また、International Journal of Healthcare Managementに“Opportunities to demonstrate expertise and job satisfaction of community pharmacists in Japan and England”という論文を投稿した。日本とイギリスの薬局薬剤師がどのような業務で専門能力を発揮できると考えているのか、どのような業務から職務満足を得ているのかをインタビュー調査し、専門能力の発揮機会と職務満足の関係性について分析した。その結果、両国の薬剤師ともに患者との接触や医療従事者との協業など、臨床業務から職務満足を得ていることが明らかとなった。しかし、それらの業務においても、薬剤師の専門性に対して十分なリスペクトが伴わない場合、職務不満足の源泉となることも明らかとなった。また、処方箋監査などの業務は専門能力の発揮機会であるものの、他者との接触が少ないため、職務満足を生む業務ではないことも明らかになった。こうした発見は、労働市場で売手市場にある薬剤師の離職を防ぐ経営管理の方向性を示すのに役立つものと思われる。 その他の業績として、研究者が執筆したわけではにが、業界誌である「藥事日報」第12263号の裏表紙一面に「薬局薬剤師の職務満足とは」というインタビュー記事が掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度はCOVID-19の影響を受けて、都道府県をまたぐ移動の自粛が要請されたため、研究計画の通りに日本国内で十分な数のインタビュー調査を実施することが出来なかった。ただし、大手調剤薬局に勤務する薬剤師数人にパイロット調査を実施することは出来た。 英国の研究者との連携については、MicrosoftのTeamsを利用して数回の打ち合わせを実施したものの、現地でのパイロット調査などは実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後もCOVID-19の影響により、当初の計画の通りに研究が進まない恐れがある。世界各国でワクチンの接種が進み、人類がある程度の集団免疫を獲得するまで、日本とイギリスにおける大規模な調査や、アメリカのオンライン薬局「Amazon Pharmacy」の現地調査などは難しい。今後の状況によっては、2022年度以降に調査を実施することになるかもしれない。 とはいえ、研究を進める状況にならない場合でも、薬局薬剤師の経営管理や薬局経営に関するインターナショナル・ジャーナルを徹底的に精読し、調査が可能になった時点ですぐに動き出せるよう、万全の準備を心がけたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はCOVID-19の影響を受けて緊急事態宣言が出され、都道府県をまたぐ移動の自粛が要請されたため、当初の計画で予定していた日本国内でのインタビュー調査がほとんど実施できなかった。そのため、出張に伴う旅費をつかうことが無かった。また、インタビューに伴う謝礼を支払うことも、テープ起こしするためにアルバイト代を支払うこともなかった。そのため、2021年度への繰越金が生じた。
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