研究課題/領域番号 |
20K01882
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
永松 陽明 横浜市立大学, 国際商学部, 教授 (90708091)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ソーシャル・イノベーション / パラリンピック / 技術開発 |
研究実績の概要 |
社会的な課題を解決するためのイノベーションであるソーシャル・イノベーションが積極的に推進されている。その一例として、2021年に東京 パラリンピック開催によって、パラスポーツ(障がい者スポーツ)に関する研究開発や支援が盛んに実施されている。研究開発においては陸上用の義足や車いす開発の取組はテレビや新聞でも見ることができる。こうした積極的な取組がパラリンピック終了後にも継続されることが、パラリンピックのレガシーとなる。そこで本研究は、パラスポーツにおけるソーシャル・イノベーションの多面的価値を定量的に明らかにし、それによる継続の誘引を図る。 具体的には、本研究はパラスポーツにおけるソーシャル・イノベーションの多面的価値を定量的に明らかにし、それによる継続の誘引を図ることをねらいとする。 東京パラリンピックが2021年に開催されるため、パラスポーツの技術分野には多くの新規参入があり、パラスポーツのソーシャル・イノベーションは活発化している。その活発化の契機は東京パラリンピック開催が決まった2013年からであり、パラリンピック終了(中止)後にも継続されることが危惧される。この活発化がブームに終わることがなく継続されるには、ソーシャル・イノベーションの効果が社会に対して適切に理解される ことが重要である。そのために、既存研究が指摘した「技術の使いこなし」「広告」「人材採用」「投資回収」などのパラスポーツのソーシャ ル・イノベーションの多面的価値効果を測定するモデルの開発を行っている。 本年は、新聞データベースを用いて技術潮流を整理した。引き続き精力的に研究を推進する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年は研究計画を着実に進めるべく、研究開発を進める企業や技術を利用する競技者などに具体的な技術開発の方向性を示すことを研究のねらいとし、全国紙の代表格である読売新聞,朝日新聞のデータベースを用いて、2008年、2013年、2018年の新聞記事の分析をテキストマイニングの一つである共起ネットワークを使用して分析を行った。 その成果を下記に整理した。 永松陽明, 「新聞報道におけるパラリンピックの技術潮流の分析」日本財団パラリンピックサポートセンターパラリンピック研究会紀要 Vol. 13 (2020) pp.61-74.
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今後の研究の推進方策 |
日本財団パラリンピックサポートセンターの強力な協力を受け 、下記に示す計画を実施している。 研究計画は、「①基本情報収集・分析」「②提言」「③研究総括」から構成される。 「①基本情報収集・分析」に関しては、2020年から随時、文献・記事検索調査、教育・研究機関との連携体制の構築、東京パラリンピック情報 の情報収集を進めている。具体的には、a)ソーシャル・イノベーションのトレンド把握、b)ソーシャル・イノベーションの因果ループ図作成、 c)多面的価値効果測定モデルの開発を行っている。 a)ソーシャル・イノベーションのトレンド把握では、2020年より新聞記事データ収集、新聞記事テキストマイニングを実施した。b)ソーシャル・ イノベーションの因果ループ図作成では、順次、因果ループのためのインタビュー、因果ループのための要因抽出、因果ループ図作成を行っていき、2022年度をめどにモデルの精緻化を行う。c)多面的価値効果測定モデルの開発では、2023年度より多面的価値効果測定の実施(アンケー ト含む)を開始し、2024年度に多面的価値効果測定の再実施を行う。 そして、2023年度までに日本財団パラリンピックサポートセンターと共に「②提言」をまとめ、2024年度に「③研究総括」を実施する。協力組織である日本財団パラリンピックサポートセンターは時限の組織であるため、②提言の時期は時期を柔軟に設定し進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビューなどを予定していたが、コロナ禍のため、すべて延期となったため。
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