研究課題/領域番号 |
20K01882
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
永松 陽明 横浜市立大学, 国際商学部, 教授 (90708091)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ソーシャル・イノベーション / パラリンピック / パラスポーツ / 技術のスピルオーバー |
研究実績の概要 |
本年度は東京パラリンピックが開催された年であり、様々なデータを収集し、次年度の分析につながる研究を実施した。ただし、新型コロナ蔓延の状況下であったため、予定していた出張などが実施できなかった。 成果においては、日本財団パラリンピックサポートセンターよりスポーツ用義足技術の論文を発表するなど、論文を2報執筆した。内容を下記にまとめる。 スポーツ用義足開発に大きな貢献をした技術は、米国のVan Phillipsの様々な発明に依る。それらの発明・技術は直接的にはパラスポーツの支援を実現するものであるが、生み出される過程で行われた高度な構造や素材の研究開発は他の産業に対して何らかの影響を与えていると想定できる。そこで、Van Phillipsが発明者となっている特許について、健常者用スポーツシューズを開発・販売している世界最大のスポーツメーカーのNikeの特許への引用状況を調査した。結果、Van Phillipsの特許のうち2件がNikeの3件の特許に引用されていた。1976年以降、Nikeが保有する特許は重複も含め1万件程度あるため影響は定量的には限られたものと判断されるが、引用が行われていることを確認できた。 また、Nikeに2回引用された特許に着目し追加分析を行った。義肢メーカーだけでなく、Nikeを含めた健常者用シューズメーカーやインソールメーカーにも引用されていたことがわかった。以上の結果から足が地面から受ける衝撃を和らげるための健常者用スポーツシューズ及びインソール技術に対してある程度影響を与えていると考えられる。Nikeのスポーツシューズにはソールにクッションが組み込まれている製品があり、このマーケットの市場規模は非常に大きい。こうした製品にVan Phillipsの特許を参考とした技術が使われているならば、金銭的にも大きなインパクトを創出している可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウィルス蔓延に伴う出張遅延はあるが、論文を2報執筆することができているため、概ね順調に進展している。 今後は予算を適切に使用して、研究を加速的に推進する。次年度は東北大学大学院工学研究科技術社会システム専攻に異動しているため、そこでの知見活用や日本財団パラスポーツサポートセンターと連携を強化する。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた国内出張での資料収集を引き続き検討しつつ、日本財団パラスポーツサポートセンターと連携し研究を加速的に推進する。 異動する東北大学大学院工学研究科技術社会システム専攻での知見を有効活用する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ蔓延に伴う出張の遅延などのため旅費を中心に誤差発生。 今後は今年度入手した資料の分析、論文化を図るため、経費を適切にかつ迅速に使用する予定。また、次年度は東北大学大学院工学研究科に異動しているため、日本財団パラスポーツサポートセンターとの共同の取り組みに積極的に活用する。
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