研究課題/領域番号 |
20K01885
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
平野 実 県立広島大学, 地域創生学部, 教授 (00405507)
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研究分担者 |
朴 唯新 県立広島大学, 地域創生学部, 教授 (20435457)
李 在鎬 広島市立大学, 国際学部, 教授 (40342133)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 知識創造 / 経営システムの変化 / 知識資源 / 研究開発戦略 |
研究実績の概要 |
本研究では,知識創造モデルを分析視角とし,日本,中国,韓国の機械産業(産業機械,輸送機械セクター等)を対象とする実証研究により,熾烈な国際競争と戦略的な補完関係にある日中韓機械産業の「知識創造プロセスの実態」を明らかにする。 令和2年度では,平野(2020)は,経営システムの変化のプロセス【(1)第2次世界大戦後~1990年代中旬,(2)1990年代後半~2000年代,(3)2010年代以降(アメリカ型経営システムへの移行の限界期)】を,資本市場と労働市場各々の市場原理主義導入の程度を基準にして分析し,オメガ型経営の概念枠組みを用いて明らかにした。李(2020)は,世界的標準化を志向するトヨタがブラジルでHVフレックスを現地と共同開発するなど,標準化と現地適合を両立し,組織成果を上げているという内容である。また,李の2件の学会発表では,韓国の現代自動車が,自動車産業のグリーンシフトの移行期において,一度FCEV(燃料電池車)の開発に傾倒していたものの,EV重視に舵を切り,世界的トレンドへの適応プロセスを明らかにしている。現在,同社はHV,PHV,EV,FCEVを同時に展開しつつ,知識資源等の共有を通じて一定の範囲の経済性を挙げていると評価している。Yousin Park, Iori Nakaoka, Yunju chen(2020)では,電気自動車市場をめぐる日中米の自動車企業3社(Toyota, BYD,Tesla)の技術開発戦略について特許データをベースに比較検討した論文である。研究成果としてはToyotaの研究開発戦略は知識活用型に近く,BYDとTeslaは知識探索型に近かったことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日韓企業に対する事例分析は開始することができたが,日本の機械産業に対して実施する予定であった質問票調査の準備が遅れているため,自己評価としては,やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
日本企業に対する質問票調査の準備,調査を迅速に進めるともに,中国企業の調査も開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度に準備,実施する予定であった,日本企業に対する質問票調査が遅れたため,次年度使用額が発生した。令和3年度では,日本企業に対する質問票調査を進めるとともに中国,韓国企業に対する調査の準備も開始し,これらの調査費用に助成金を使用する計画である。
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