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2021 年度 実施状況報告書

プラットフォームビジネスの普及段階に応じたネットワーク効果の解明とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 20K01887
研究機関青山学院大学

研究代表者

大内 紀知  青山学院大学, 理工学部, 教授 (10583578)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードプラットフォームビジネス / ネットワーク効果
研究実績の概要

本研究は、プラットフォームビジネスにおけるネットワーク効果の定量的分析とそれに基づくシミュレーションにより、プラットフォームビジネスの持続的な成長戦略に有効な知見を得ることを狙いとしている。
令和3年度は、キャンペーンをきっかけにQRコード決済アプリの利用を開始したユーザの継続利用の意思決定にネットワーク効果が与える影響などを中心に研究を進めた。プラットフォームビジネスではネットワーク効果が働くため、早い段階でのユーザ獲得が普及を促進することから、キャンペーンなどによるユーザ獲得が積極的に行われてきた。しかし、キャンペーンなどで一時的に利用者が増えても、その一部はすぐに利用をやめてしまうことが多くの例で見られる。これはプラットフォームビジネスを運営する企業にとっての大きな課題の一つである。そこで、キャンペーンをきっかけにQRコード決済アプリの利用を開始したユーザの継続利用に影響を与える要因を明らかにすることを目的とし、サイド間ネットワーク効果を表す利用可能な店舗数などを考慮した分析モデルを構築した。それらの研究成果は国内学会で発表した。
その後、アンケートを実施し、そのデータを基に、提案した分析モデルを用いて分析した結果、キャンペーンをきっかけに初めてQRコード決済アプリを利用するユーザは、キャンペーンを通じて実際にアプリを利用することで、利用可能な店舗の多さに対する認識が向上し、それがQRコード決済アプリの満足度に影響を与えていることを明らかにした。加えて、QRコード決済アプリの個人間送金機能の利用の意思決定に与えるネットワーク効果の影響が、QRコード決済アプリの利用開始が早かったユーザと遅かったユーザでどのように異なるのかを分析した。これらの研究成果は、今後、学会で発表する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究は、3年の研究期間において「1. 普及段階に応じた各種ネットワーク効果の影響の解明」、「2. ネットワーク効果の中身の定量的な把握」、「3. シミュレーションによる戦略の効果の検討」を行う計画である。研究2年目の令和3年度は、計画では「1.普及段階に応じた各種ネットワーク効果の影響の解明」と「2.ネットワーク効果の中身の定量的な把握」に関して、令和2年度に得られた分析結果を基にして、分析手法の改良、データの拡充、分析対象の拡大をしながら分析を発展させ、それらの結果を踏まえながら、「3. シミュレーションにより戦略の効果の検討」のためのモデル構築、試行分析を行う予定であった。「1.普及段階に応じた各種ネットワーク効果の影響の解明」、「2.ネットワーク効果の中身の定量的な把握」については、キャンペーンをきっかけにQRコード決済アプリの利用を開始したユーザの継続利用の意思決定にネットワーク効果が与える影響などを分析し、一部の研究成果を学会で発表した。それらに加え、学会などでは発表していないもののQRコード決済アプリの個人間送金機能の利用の意思決定に与えるネットワーク効果の影響が、QRコード決済アプリの利用開始が早かったユーザと遅かったユーザでどのように異なるのかなどについても分析を行っており予定通りに進めることができた。ただし、コロナ禍において、様々な研究者とのディスカッションの機会を得にくかった面もあり、分析の深耕が不足している点は否めない。「3. シミュレーションによる戦略の効果の検討」については、シミュレーションの技法などについての既存研究のレビューを実施は行っているが、まだネットワーク効果に関する本研究成果を踏まえたシミュレーションまでは達成できていない。以上を踏まえて、当初の計画に比較して「やや遅れている」とした。

今後の研究の推進方策

令和3年度は、「1. 普及段階に応じた各種ネットワーク効果の影響の解明」、「2. ネットワーク効果の中身の定量的な把握」を行った。これらの分析をさらに発展させるために、これまで構築した研究者ネットワークをオンライン会議なども利用しながら最大限活用することで研究の推進を図る。「3. シミュレーションによる戦略の効果の検討」については、本研究とは別に行っている研究において、マルチエージェントシミュレーションを用いた研究を行っており、そちらで培ったシミュレーションに関する知見やノウハウを本研究に融合することで、研究を効率的に進める。

次年度使用額が生じた理由

令和3年度も学会がオンライン開催・ハイブリッド開催となり旅費を使用しなかったこと、対面での研究打ち合わせなどの実施がコロナ禍で難しかったことが理由である。
次年度は、アンケートの実施・データの収集の費用に加えて、国内会議・国際会議での発表、海外研究機関との打合せに必要な費用に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] キャンペーンで利用を開始したユーザの継続利用要因の分析モデルの検討 ―QRコード決済アプリを対象として―2021

    • 著者名/発表者名
      小倉 将,原田 拓弥,大内 紀知
    • 学会等名
      経営情報学会2021年全国研究発表大会

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公開日: 2022-12-28  

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