本研究では、プラットフォームビジネスの普及段階に応じたネットワーク効果の解明し、プラットフォームビジネスの持続的な成長戦略に有効な知見を得ることを狙いとしている。 令和5年度は主に、ユーザ数の増加に伴う悪質なユーザの増加、ユーザ数の増加に伴うユーザの特徴の変化に着目した研究を行った。 ユーザの増加に伴い、他のユーザに迷惑な行動をとる悪質なユーザが増加し、ユーザが離れてしまうことが問題になっており、ユーザの質を管理する必要性が増している。一方で、ユーザの質の管理を厳しくすると、ユーザに手間が発生し、プラットフォーム(PF)の価値に対して負の影響を与える可能性もある。そこで、「ユーザ管理の厳格さ」が「ユーザの質」や「ユーザの手間」に与える影響、それらが「PFの価値」に与える影響について、フリマアプリの利用に関するアンケート調査を実施し、それらのアンケートデータを基に共分散構造分析を行い、PFの成長の初期段階と後期段階における影響の違いを明らかにした。 さらに、ユーザ数の増加に伴う、ユーザの特徴の変化がPFに対する満足度に与える影響について分析した。ファッションECモールを対象とし、早期利用者と後期利用者のPFに対する満足度に対して、ユーザが他のユーザに対して抱くイメージが与える影響について、アンケートを実施し、それらのアンケートデータを基に共分散構造分析を行った。その結果、ファッションECモールが、新規ユーザを獲得するために低価格帯のブランドの誘致を進め、低価格帯のブランドを好むユーザや価格を重視しファッションへの関心が低いユーザの割合が増加すると、以前からファッションECモールを利用しているユーザのファッションECモールに対する満足度が低下する可能性を示した。これらの研究成果は国際学会、国内学会で発表した。
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