研究課題/領域番号 |
20K01891
|
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
玄場 公規 法政大学, イノベーション・マネジメント研究科, 教授 (80313039)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | イノベーション / 技術戦略 / 技術経営 / スマイルカーブ / 経営戦略 |
研究実績の概要 |
日本の製造企業には、競争優位の源泉となる長年蓄積された高度な技術力を有している。しかしながら、近年、部品・ソフトウェアのモジュール化による組み立てメーカーの競争力の低下、また、研究開発及び設備投資の効率性の低下が指摘されている。ただし、このような定性的な指摘はなされているものの、日本の製造企業のイノベーション戦略に関する実証的な学術的成果は未だ十分とは言えない。そのため、本研究は、長期にわたる豊富な統計データを用い、日本の製造企業のイノベーション活動に関する実証分析を行うとともに、先進的な企業の事例分析により、競争優位確立のための戦略的マネジメントを提示することを目的とする。特に各産業において、バリューチェーンは大きく異なり、また、長年蓄積した産業技術を活用できる技術機会は大きく異なると考えられる。そのため、各産業のバリューチェーンと技術機会に焦点を当てた定量分析及び事例分析を行う。本年度は豊富な統計データを収集し、産業の取引関係に着目したBtoB率という独自の指標を導入し、各産業の収益性との関係を分析した。また、収益性の低下した日本の製造業においては多角化による新規事業の創出が期待されているが、日本の製造業の多角化の動向と収益性についても分析を行った。この結果、多角化を行っている産業ほど収益性が低下していること、また川上の産業ほど収益性が高いことを示す結果が得られた。今後、定量分析の精査とともに事例分析を行っていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
各産業の取引関係に着目したBtoB率という独自の指標を導入し、各産業の収益性との関係を分析した。また、収益性の低下した日本の製造業においては多角化による新規事業の創出が期待されているが、日本の製造業の多角化の動向と収益性についても分析を行った。これにより、一定の研究成果が得られており、おおむね研究は順調に進展していると言える。しかしながら、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえて、緊急事態宣言等が発出されている状況であることから、企業へのインタビュー調査は困難であり、事例分析を実施することができず、研究の進捗はやや遅れていると言わざるを得ない。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、統計データを収集し、定量分析を行っていく。ただし、コロナウイルスの感染状況を注視しなければならないことは事実であり、状況を踏まえて企業へのインタビュー調査及び事例分析を行っていくこととする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの感染状況を踏まえて、緊急事態宣言等が発令されており、企業へのインタビュー調査が困難な状況にある。また、他大学の研究者との研究打ち合わせなども難しい状況にあり、旅費は予定通りに支出していない。次年度に支出を行いたいと考えているが、状況を踏まえて適宜支出を検討していくことになる。
|