研究課題/領域番号 |
20K01895
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
石井 充 関東学院大学, 人間共生学部, 教授 (10350753)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | エージェントモデル / 数値シミュレーション / 複数サービス / シェア分析 / Pottsモデル |
研究実績の概要 |
既存の研究において用いてきた自作のシミュレーションプログラムを拡張し、Pottsモデルに適合した形式のものを作成した。これは、各エージェントの状態として、スカラー型の数値ではなく、多次元ベクトルを用いた表現を行うものである。これにより、各エージェントの取り得る状態として、同時に複数サービスに加入している状態を扱うことができるようになり、安定状態にない経過的な過程として、複数サービスの一時的な共存状態を考慮に入れた数値シミュレーションが可能となった。 このプログラムに基づき、エージェント数が少ない状況で簡易的なシミュレーションを実施した。これは、エージェント数が少ないために、数値的な誤差が大きく、定性的な傾向のみを把握できるものである。また、エージェントの配置も、最も単純な格子状の配置となっており、現実的な状況を全て的確に表現しているモデルではない。 このような条件付きの予備的な数値計算ではあるものの、これらの作業は、作成したプログラムが正常に動作しているかどうか、得られる数値計算結果が定性的に妥当と言えるものであるかどうか、本格的な数値シミュレーションを行った場合どの程度の計算時間が予想されるか、といった事項に対する見通しを得るのに役立つ。 その結果、得られたデータは、上述の通り、数値的な精度という意味では不十分であり、公開できる水準にはないものの、定性的な傾向としては不自然な点は見られず、本研究の方向性は間違っていないと考えられることが確かめられた。また、数値シミュレーションに要する時間等の観点においても、特別な工夫をせずとも実行可能であるという見通しが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
数値シミュレーションに関するプログラム作成はおおむね予定通りに進められた。しかしながら、感染症のためにほとんどの学会が中止あるいは延期となり、発表の場が失われた。
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今後の研究の推進方策 |
正常な発表の場がなくなっていることは前年度と変わっていないが、オンライン形態での実施が決定した国際学会なども現れ、状況は幾分改善する傾向にある。しかしながら状況は流動的であり、直前に開催形態が変更になるものなども出ており、不透明感は否めない。 今後は論文発表などの不透明さの少ない形態を中心に、研究成果の公表を進めて行きたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初参加し発表することを予定していた国際学会が、すべて当初の予定通りでの開催ができなくなり、旅費を使用する機会が全くなかった。2021年度もこの点でも不透明さは十分には解消されておらず、国際学会参加に関する旅費の使用についてはめどが立っていない。2021年度内に通常の形態で学会が開催された場合には2021年度中に旅費を使用するが、通常通りに開催されない場合には旅費の大部分を2022年度に使用することになる予定である。
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