本研究の目的は、ワークライフバランスの実態や決定要因について明らかにすることで、企業の人的資源管理上、また社会経済的にも有用なインプリケーションを得ることである。そのために、①ある日本企業を対象として、従業員アンケート調査を実施し、さらに人事マイクロデータを結合させたデータセットを作成してそれを用いた実証分析を行うこと、②女性労働者を対象としたインターネット調査を行い、企業調査研究の一般性を確認し、かつ、一企業では対象者数が少ない女性労働者についての分析を深める、の2点が全体の概要である。 2023年度は、①について、分析対象企業における調査を行った。具体的には、2023年6月以降、企業側の担当者や共同研究者らと複数回の打ち合わせを行った後、2023年8月に、従業員アンケート調査を実施、同時にマイクロデータも入手した。2023年9月以降、データ整理と基礎的な分析を行い、10月以降、企業側に対して、報告書等基本的なフィードバックを行った。 ②については、まず、共同研究者の岡嶋裕子氏、平尾智隆氏と定期的な研究会を行い、先行研究の検討や文献整理を進めた。そこから得られた知見をもとに、アンケートの調査票を作成し、2023年6月に実査を行った。データの整理と基礎的な分析を行い、研究会を通じた意見交換や内容の検討を行った。また、研究の補完と発展のために追加的なアンケート調査を2024年2月に実施した。 これらについて、2023年度は論文2本を発表した。研究期間全体を通じて、データの蓄積と分析および研究発表を行った。
|