研究課題/領域番号 |
20K01903
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研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
研究代表者 |
松野 成悟 宇部工業高等専門学校, 経営情報学科, 教授 (30290795)
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研究分担者 |
中岡 伊織 星城大学, 経営学部, 准教授 (50469186)
内田 保雄 宮崎産業経営大学, 経営学部, 教授 (70321487)
伊藤 孝夫 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 特任教授 (00280264)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 経営学 / 経営情報 / デジタルトランスフォーメーション |
研究実績の概要 |
本研究は、企業がAIやIoT、RPA、クラウド、X-Techなどの新しいデジタル技術を活用して製品やサービス、組織などを変革し、戦略的に新たな付加価値を創出することで競争優位の確立をめざすデジタルトランスフォーメーション(DXやDTなどと略されるが、ここではDTとする)の成功要因を実証的に解明し、DT戦略に資する新たな情報システム(IS)マネジメントの指針を得ようとするものである。 本年度は、国内企業に対する質問票調査の企画・設計作業などを予定していたが、長期化するコロナ禍の状況に鑑み、文献調査や事例研究などを中心に研究を進めた。 文献調査にもとづく中小企業のデジタル化に関する現状分析からは、①IT人材不足と産業構造の課題、②組織「縦割り」の弊害、③ブラックボックス化したレガシーシステムの足かせ、④経営者による明確な経営戦略の有無などが、中小企業でDTが進まない要因・背景として指摘されていることを確認した。そして、経営資源に制約のある中小企業に適合的なDT導入モデルの構築に関して、必要となる要素技術について調査した。具体的には、PRA、ERP、ノーコード/ローコードのそれぞれの技術的な特徴を比較・整理することで、中小企業への適用可能性を検討した。 また、DTの取組と企業業績や企業価値との関係を実証的に分析した既往研究からは、ソフトウエアや組織資本などの無形資産と株価リターンとの間に有意な正の相関が認められており、デジタル化に取り組む企業の企業価値を市場が高く評価していることが示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
デジタルトランスフォーメーション(DT)の成功要因を実証的に解明するため、本年度は文献調査や事例研究のほかに、国内企業に対する質問票調査の企画・設計作業などを予定していた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行を受け、昨年度に引き続き移動をともなう各種調査や情報収集、打合せ等の実施が困難となった。 また、学内的にもハイブリッド授業の対応や新型コロナウイルス感染予防対策などに忙殺され、本研究課題に割り当てるエフォート率を引き下げざるを得なかった。 以上のことから、DTに関する質問票調査の企画・設計作業に着手することができなかったため、本研究課題の進捗状況は遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、4年の研究期間内に、文献調査などを中心とする理論研究、インタビューや質問票調査の実施にもとづく実証研究、統計的モデリングなどを4名のメンバーが協力して遂行することによって、デジタルトランスフォーメーション(DT)の成功要因を解明し、新たな情報システム(IS)マネジメントの指針構築を目指すものである。 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で本研究課題の進捗状況は遅れており、コロナ禍の今後の先行きも依然として不透明であるが、例えば実務家や分担者との打合せにオンラインを積極的に活用するなど、研究方法を工夫していきたいと考える。また、企業に対するインタビューや質問票調査においても相手側に過度の負担をかけぬよう、慎重に対応していくこととし、本研究課題の目的の達成に向けて鋭意努力したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
デジタルトランスフォーメーション(DT)の成功要因を実証的に解明するため、本年度は文献サーベイや事例研究のほかに、国内企業に対する質問票調査の企画・設計作業などを予定していた。しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行を受け、昨年度に引き続き移動をともなう各種調査や情報収集、打合せ等の実施が困難となったため、次年度使用額が生じた。 これらの次年度使用額については、国内企業に対するDTに関する質問票調査の実施などに使用する予定である。ただし、このコロナ禍の収束が見通せない中で企業に過度な負担をかけないよう留意し、工夫していきたい。
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