研究課題/領域番号 |
20K01912
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
西中 美和 香川大学, 地域マネジメント研究科, 教授 (70770741)
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研究分担者 |
増田 央 京都大学, 経営管理研究部, 特定講師 (70708875)
原 真志 香川大学, 地域マネジメント研究科, 教授 (40281175)
沼田 秀穂 香川大学, 地域マネジメント研究科, 教授 (60450178)
佐藤 勝典 香川大学, 地域マネジメント研究科, 准教授 (10632234)
吉澤 康代 香川大学, 地域マネジメント研究科, 准教授 (60567379)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Regional strategy / Service / Meso-level community / Well-being / Knowledge / Trust / Transform / destination management |
研究実績の概要 |
本研究では,地域のwell-beingをめざすメソレベル・コミュニティ形成を促進するための「地域戦略の概念モデル」を構築することを最終目的としている.先行研究より,本研究における well-being は,personal well-being と social well-being のバランスを考慮したものであり,社会の中で(将来のためにも)より良く生きるということが幸せである,また,そのwell-beingを得ようとする機会があることが幸せである,という定義とした.研究目的を代表する事例として,地域における芸術祭による地域戦略とコミュニティの構築事例をとりあげている.対象事例における過去データを然るべき手続きを経て入手した.そのデータの分析により,メソレベル・コミュニティ形成の1つの例として,新しい地域形成を実現する地域戦略モデル構築を開始した. モデル構築にあたっては,デスティネーション系の先行研究から仮説を生成し検証する形で進めている.特に,住民の認知(perception)が,新しい地域形成とwell-being に,どのように影響するかを中心に分析を行っている.令和4年度中にジャーナル誌への論文投稿を予定している.また,知識ベース論を理論ベースに取り入れることを模索しており,そのために,現在実施中である既存データの解析に追加し,新たにデータ収集を行うことも検討している. 現段階での成果実績としては,香川大学紀要へ先行研究中心にまとめた論文,および国際ジャーナル誌への論文投稿を行っている.また,研究の社会還元として,国内学会での発表,JSTのサイエンスウィンドウにおけるインタビュー記事の掲載等を行っている.2022年は,対象となる事例である芸術祭開催年であるため,継続的な住民の認知の変化,それらの影響の把握を実施予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により,微細な遅れがあるものの,データ取得対象と分析手法を変更することで十分キャッチアップが可能な範囲である. 当初の2020年度,2021年度の計画では,香川県に加え,石川県の事例におけるインタビューとアンケートを行う予定であった.しかし,コロナ禍により県外出張が一時困難であったため,データ取得対象を,香川県事例のみとし,既存の大量データを利用し解析することでモデル化を行うこととした. 2021~2022年度は,既存データの解析を行っている.しかしながら,既存データの範囲における変数でのモデル構築になるため,今年度の芸術祭の終了後に,新たにデータ収集を実施することを検討中である. 今後の計画においても,コロナ禍の状況が大きく研究計画に影響を与えることが考えられる.事前の状況予測が困難であるため,現段階で計画を変更することはできないが,随時,状況を鑑みながら適切な対応を取ることで計画に支障がないよう図る.状況に応じたいくつかの対応パターンはすでに準備中である.
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍でインタビューが実施できなかったため,既存の大量データを利用することに方針を変え,そのデータ解析によるモデル構築を行うことへと変更した.既存データはすでに然るべき手続きのもと,取得済みである.2021年度はデータの整理と解析を実施し,モデル構築を行っている.しかしながら,既存データのみでは,変数の数が必ずしも十分ではないため,2022年度に開催される地域の芸術祭の終了後に,データ収集を行うことを検討している.2023年度は,新規に取得するデータによるモデルの再構築を行う予定である.2024年度には最終的なまとめを行い,成果発表を実施する.香川県での事例に平行し,新型コロナの状況に依存はするものの,可能な限り,石川県事例においても検証を考えている.また,インタビューも状況を見ながら,実施の方向で考えている.この予定は,今後のコロナ禍の状況により変更になる可能性があるが,状況に応じた対応がとれるよう,すでにいくつかの代替案は検討中である. 成果の発表予定としては,2022年度は,国際学会発表,国際ジャーナル投稿を予定している.2023年度後半からは,新しく取得するデータによる再検証結果を論文にまとめる.積極的に,国際ジャーナル投稿,国際学会発表を行い,社会へのフィードバックを予定している. 進捗に微細な遅れがあるため,研究分担者との会合を,2週間に1回の定例会として設定した.これにより,遅れを解消し,また,研究の一層の質向上を図る.
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度はコロナ禍のため,インタビュー,調査,研究分担者との打ち合わせ等,移動を伴う研究活動がほとんど実施できなかった.学会への参加もオンライン参加となり,2020年度分と合わせ,旅費分を中心に繰越となった.2020年度の途中で,独立基盤形成支援の追加基金を受け取ったため当初予算よりも多くの金額が繰越となっている. 使用計画: 本年度は,データ分析によるモデル構築を行い,論文を執筆中である.国際ジャーナルに投稿するために,英文校閲費,投稿費を使用予定である.また,国際学会発表を検討しており,その参加費,旅費にも使用予定である.また,新たに取得するデータの整理は,分析に集中するために,謝金による協力者への協力依頼も考えている.
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