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2021 年度 実施状況報告書

伝統工芸産業産地の事業システムの多様性と産地間の競争と協調についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K01914
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

出口 将人  名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (40305553)

研究分担者 柴田 淳郎  滋賀大学, 経済学部, 准教授 (10437452)
伊藤 博之  大阪経済大学, 経営学部, 教授 (20242969)
山田 幸三  大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (40240014)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード経営学 / 産業集積 / 事業システム / 組織間関係 / 社会的情緒資産
研究実績の概要

新型コロナウィルスの感染拡大が予想以上に長引くことが想定される中、当初の研究計画のさらなる変更、縮小が必要になりそうだとのメンバーの一致した判断にもとづき、分析のフレームワーク、調査方法、調査対象の再検討をおこなった。
まず分析のフレームワークについては、産地の生産者をはじめとする主要なプレーヤーの家業や産地そのものにかんする社会的情緒資産(=SEW)が産地の事業システムの根底にあって、それを成立せしめている要素であるとの仮説にもとづき、SEWとのかかわりにおいて産地の事業システムを調査分析するというアプローチへの転換を確認した。
調査方法については、産地の主要プレーヤーのSEWおよび事業システムの把握のための現地での聞取り調査と質問票調査の両方について質問項目を確定した。
調査対象については、3つの漆器産地(石川、会津、海南)を想定していたが、さしあたりは会津にフォーカスすることを確認し、同地区の資料の収集、整理、分析を優先的におこなった。
以上のように研究計画の変更、縮小について方向性を定めることができ、ようやくコロナ下下でも実行可能な具体的な調査計画は整った。しかしながら、本研究課題の遂行において最も重要なフィールドワークをおこなうことができなかった。そのため、当初の予定では各産地の調査結果をDPやRPとしての発行することを目指していたが、現時点では準備段階にとどまっており、具体的な成果は上がっていない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナウィルス感染拡大により、本研究課題が採択されてからの二年間にわたり、研究代表者および研究分担者(以下、メンバー)は勤務先での大学運営や教育にかんする負担が従前よりも少なからず増大しただけでなく、勤務先での出張制限などにより、本研究課題の遂行にあたってもっとも重要で不可欠な産地における主要なプレーヤーにたいする詳細な聞き取り調査をはじめとするフィールドワークをまったくおこなうことができなかった。
一年目の終了時点では、電話による聞きとり調査も視野に入れていたが、新型コロナウィルスの感染拡大状況が一進一退であり、現地調査が可能になりそうな局面もあったため、これを見送ったことが進捗状況をさらに遅らせることになった。
また新型コロナウィルスの感染拡大状況の長期化を見越して、メンバー間で分析フレームワーク、調査方法および調査対象について随時議論をおこない、これらについて当初想定された基本的な課題や目的の枠組みの中での変更、縮小をしたことも、遅れの原因の一つとなった。

今後の研究の推進方策

現時点(令和4年5月)において小康状態を保っているとはいえ、新型コロナウィルスの感染拡大の新しい波はいつ生じても不思議ではない状況であり、いまだ予断を許さない。この点をふまえ、より現実的な方策として、現地調査を二段階に分けて行うことを考えている。まず最初の段階では、調査対象を最小限に留めて仮説を提示し、次の段階では、より多くの調査対象への聞きとりをつうじて、それを検証、修正するというものでる。
具体的には、当初はより多くのプレーヤーにたいする聞きとり調査を念頭においていたが、まず最初の段階では、生産者組合や公的機関にアプローチし、それらを介して産地の中核的なプレーヤーを特定する。つづいて、中核的なプレーヤーの(家業あるいは産地にかんする)社会的情緒資産がいかなるもので、それが産地の事業システムのあり方にどのような影響を呼ぼしているのかを明らかにするべく、聞きとり調査をおこなう。
次の段階では、さらに状況が許す限りにおいて、第一段階の調査でえられた仮説を幅広く検証、修正するべく、より多くのプレーヤーに聞きとり調査をおこなう。
このように調査を二つの段階に分け、それぞれの段階が終わった時点で研究成果をまとめるようにすることによって、不測の事態が生じた場合でも、これまでとは異なり無理なく何らかの成果を出すことができるようになると考えられる。

次年度使用額が生じた理由

これまで二年間にわたる新型コロナウィルスの感染拡大により、当初予定していた現地調査や研究会をおこなうことができす、経費の大部分を占めると考えられた旅費やインタビューデータの整理などにかかわる費用がまったく発生しなかったことが最大の直接的理由である。それにともなった分析のフレームワーク、調査の方法や対象について見直しを余儀なくされたため、上述の経費以外についても当初の見込みと少なからず乖離が生じることになった。
次年度使用額については、現時点においても先の状況を見通すことは難しいが、これまでにおこなう予定であったフィールドワークや研究会のために使用する予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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