研究課題/領域番号 |
20K01923
|
研究機関 | 開志専門職大学 |
研究代表者 |
近藤 正幸 開志専門職大学, 事業創造学部, 教授 (40170435)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | イノベーション・ネットワーク / 現地頭脳の活用 / 日本企業 / アジア / 特許 |
研究実績の概要 |
まず、特許協力条約(PCT)に基づく国際特許データを用いて、国際特許創出のアジア・シフトを明らかにした。その上で、日本企業がアジアのどの国でその国在住の発明者を活用して国際特許を創出しているかを2019年について分析し、絶対件数では中国、韓国、シンガポールにおいて多いが、その国の発明者が絡む特許件数における日本企業の特許件数の割合では、タイが14パーセントと唯一2桁台であることを明らかにした。 イノベーションのネットワークの分析に当たって、日本企業のタイを拠点とした特許創出のサンプル分析から、グローバル・イノベーションのネットワーク・拠点の類型と現地頭脳活用の類型について整理した。グローバル・イノベーションのネットワーク・拠点の類型については大きくは①現地単独型、②2国連携型、③国際ネットワーク型である。現地頭脳活用の類型については、現地では、「現地スタッフ」、「本社からの出向者」、「第3国姉妹企業のスタッフ」、「外部(大学・研究機関、他企業)」などである。本国、第3国でも同様な考え方をしている。 以上の類型に基づいて、日本企業のタイ拠点に注目した特許創出の状況について分析したところ、次のことが判明した。日本とタイの連携である「現地-本国連携型」が多い。タイ単独の「現地単独型」も結構多い。タイ・第3国の連携型である「自律連携型」も少ないがある。タイ・第3国のネットワーク型である「自律ネットワーク型」や「本国調整型ネットワーク」がないこともないが、3か国以上の国際ネットワーク型は少ない。頭脳活用(発明者)類型については、日本拠点に少数ながらタイ人や中国人・韓国人もいる。タイ拠点では当初は日本人であったが、その後はタイ人が多くなってきている。中国人のいる事例もある。全体としてタイ人が多く、日本人の2倍弱である。第3国では現地の人材が多いが日本人がいる例もある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染の影響で、国内外のインタビュー調査を実施していないため、特許データベースに基づく分析は進展しているが、定性的な情報の入手ができていない。
|
今後の研究の推進方策 |
特許協力条約(PCT)に基づく国際特許データの分析を、出願人が日本企業居k外の国の企業にも拡大し、日本企業との比較を行う。また、イノベーションの海外拠点として、タイだけではなくインドjなど他の国に拡大し、イノベーションの海外拠点が異なることによって、日本企業のイノベーション・ネットワークがどのように異なるかを分析していく。 こうした分析に加え、コロナの感染状況が落ち着いてくれば、国内外におけるインタビュー調査によりデータ分析結果の解釈を補完していきたい。 また、国内外の学会に発表することにより、他の研究者からのフィードバックを得て、研究の推進方策の新たねアイデアを得たいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染の影響で、国内・国外のインタビュー調査を控えたこと、参加を予定していた国際学会が中止になったこと、国内学会もオンライン開催となり旅費が不要になったことなどによる。
|