特許協力条約(PCT)に基づく国際出願特許データを用いて、筆者が提案したグローバル・イノベーションのネットワーク・拠点の類型に基づいて、2021年度のタイ拠点から2022年度はASEAN諸国及びインドまで拡大し日本企業等の1つの海外拠点に着目したグローバル・イノベーション・ネットワークのパターンについての分析を近年の2010年代後半について行ったが、2023年度は、米国企業についてインド拠点に関して分析を行った。これにより、タイ拠点、シンガポール拠点、インド拠点についての日米独3国の企業のグローバル・イノベーションのネットワークの形態の比較が可能となり、3拠点間の比較も可能となった。 アセアン諸国の中では、タイ拠点に関しては日米独3国の企業は3者3様のグローバル・イノベーションのネットワークのパターンを示したが、シンガポール拠点に関してはかなり似通ったパターンを示すことが明らかになった。 インド拠点に関しては、日米独3国の企業のグローバル・イノベーションのネットワークの頻度順のパターンが興味深いことに全く同じとなった。頻度が高い順に記すと、「現地-本国連携型」、「現地単独型」、「本国調整ネットワーク型」、「現地-第3国連携型」、「現地-第3国ネットワーク型」であった。 論文数で見た科学技術レベルに関連付けてみると、科学技術レベルが高いインド拠点に関しては、日米独3国の企業のグローバル・イノベーションのネットワークの形態が同じ傾向を示し、論文数で見た科学技術レベルが低いタイ拠点に関しては、日米独3国の企業が3者3様のパターンを示し、論文数で見た科学技術レベルが中間のマレーシア拠点、シンガポール拠点に関しては、中間の様相を示したことが判った。
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