| 研究課題/領域番号 |
20K01934
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| 研究機関 | 明治大学 |
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研究代表者 |
木全 晃 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (10448350)
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| 研究分担者 |
高橋 正泰 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (10154866)
板倉 宏昭 東京都立産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 教授 (80335835)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 環境経営 / 組織文化 / 組織アイデンティティ |
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| 研究実績の概要 |
現代の企業行動を考察するうえで，「環境経営」(Sustainable management)は重要なタームとなっている．これは，自然環境にできるだけ負荷をかけずに企業の存続と成長が可能となるような社会および自然との調和を意味し，環境と経済を同時達成する現代のマネジメントの理念型といえる．本研究は，これまで研究代表者が実施してきた研究成果をもとに，海外展開に伴う環境経営の移転の問題に焦点をあてる．グローバル化が進展する日本の製造業において，国内で開発・蓄積・発展させた環境経営を，いかに海外子会社でスムーズに活用ができるか，この環境経営の移転がスムーズに進む組織とそうでない組織には制度的，文化的，技術的差異があるのではないか，との仮定に基づく．一般に海外移転の問題は制度や技術からのアプローチが多いなか，本研究は文化的要因(組織文化，組織アイデンティティ等)を中心に据え，国内事業所および海外子会社への定性的・定量的調査により，その移転メカニズムを解明しようとする点に独自性，創造性を見出すものである．
本研究の2年目となる令和3年度は，初年度に達成できなかった計画（①先行研究を精査し，分析のための理論枠組みと方法を特定化すること，②環境経営の海外移転事例について数社へ予備的調査を行うこと，③質問紙票の概要を設計すること）に取り組むとともに，研究計画調書に記した2年目計画の3つの事項（④質問紙票調査の実施およびSPSSを用いた回収データの解析とインプリケーションの抽出，⑤調査回答企業へのフィードバック・インタビューの実施，⑥定量・定性調査の総合的考察および解釈）のうち，特に④について着手する計画であった．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記区分とした理由は，前述のとおり計画した4事項の進捗度合等を評価した結果からである（①先行研究を精査し，分析のための理論枠組みと方法を特定化すること，②環境経営の海外移転事例について数社へ予備的調査を行うこと，③質問紙票の概要を設計すること，④質問紙票調査の実施およびSPSSを用いた回収データの解析とインプリケーションの抽出）．①については，実証研究を進めるうえでの仮説の導出および検証のための枠組みを整えるべく，新たに参加した分担研究者の知見（文化的要因：組織文化や組織アイデンティティ等の相互作用に関する解釈学的諸研究）をもとに精力的に進めた．その結果，研究枠組みのおよその特定化が成され，質問紙票の調査事項を確定することができた（これについては定量調査に関する知見の豊富な新たに参加した分担研究者の貢献があった）．これらのことをもとに，欧州製造企業への定量調査のための質問紙票の設計（③）を終えることができた．しかしながら，これを基礎とする予備的調査（②）および質問紙票調査の実施とSPSSを用いた回収データの解析とインプリケーションの抽出（④）は新型コロナウイルスの蔓延等により滞っている．質問紙票の送付先リストの作成（欧州製造企業）に取り組んでいるところである．
併行して，分担研究者の協力を得て，組織アイデンティティと文化，コミュニケーションに関する論文を海外の国際会議で発表しプロシーディングが掲載されたほか，環境と経済，組織研究の発展的な書籍や学会発表を成果として公表することができた．これらの継続的な成果のアウトプットも踏まえ，本研究の2年度目については上述の評価とした．
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| 今後の研究の推進方策 |
最終年度となる今年度は，初年度および2年度目に達成できなかった4事項に関する計画（①環境経営の海外移転事例について数社へ予備的調査を行うこと，②質問紙票調査の実施およびSPSSを用いた回収データの解析とインプリケーションの抽出，③調査回答企業へのフィードバック・インタビューの実施，④定量・定性調査の総合的考察および解釈）を可能な限り総合的に進める予定である．特に，調査研究のベースとなる②について新たに参加した分担研究者の知見とネットワークをもとに，まず実施することを計画している．これは，①5000社を超える欧州の日系企業リストから製造業を抽出し送付先リストを作成，②質問紙票を数千社の現地製造企業へ送付，③回答を回収，④SPSSによるデータの解析，⑤インプリケーションの抽出，といった段階からなる．①については，既に2年度目に取り組みを開始しており，これを今後は完了させ，②③④⑤の段階に進むこととしたい．しかしながら，新型コロナウイルスの蔓延が常態化しつつある状況下にあって，かつての平常時と同様の効率的，合理的調査研究活動がたいへん困難となっていることからすると，最終年度のみで本研究のインプリケーションを広く公表するに至るのは困難かもしれない．ただし英国の最新情報によると，当該国では海外からの渡航者受け入れが平常状態に戻りつつあるとのことである．このことから1年間の研究延長（2023年度）を視野に入れつつ，2022年度の最終年度は本研究を進めることとしたい．
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| 次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主要な理由は，当初予定していた複数件の英国およびEUでの海外予備的調査および本調査について，新型コロナウイルス感染拡大の影響により遂行が困難となったことから研究が停滞したことなどによるものである．不確実ではあるが，新型コロナウイルスの感染のある程度の収束により（英国の最新情報によると海外からの渡航者受け入れは当該国において平常状態に戻りつつあるとのことである），オンラインでの調査の可能性も探りつつ，比較的安全な海外渡航が可能となった際，当初計画の海外予備的および本調査，国際会議での発表を随時，進めることとしたい．オンラインで開催される国内学会に今年度は参加・発表すると同時に，新たに国際会議での発表を申請することなども視野に入れている．
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