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2020 年度 実施状況報告書

経済開放初期における日系企業の行動

研究課題

研究課題/領域番号 20K01938
研究機関東京都立大学

研究代表者

松尾 隆  東京都立大学, 経営学研究科, 准教授 (50305489)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワードミャンマー / 国際経営 / 新型コロナ / 政変 / クーデター / 政治的リスク
研究実績の概要

本研究は、ミャンマーにおける日系企業および日本人起業家の経営行動を分析することを目的としている。研究代表者は2020年3月にミャンマーに滞在しており、ちょうど日本及び東南アジアでの新型コロナウィルスの脅威が深刻化してきた時期であった。その後、ミャンマーから帰国し、研究実施期間に入ったがミャンマーでの調査は国際移動の規制により実質的に不可能になった。その中でも、新型コロナ禍というリスク環境下での日系企業及び日本人起業家の経営行動について、新聞やSNSなによる公表された情報及び、オンラインによる遠隔のインタビュー等により、情報収集に努めた。
こうした情報は集まったが、2021年2月にミャンマーではいわゆるクーデターが起き、さらに経営環境が大きく変化した。本報告書執筆時点でも、混乱の収束は期待できない。これは、極端な政治的リスクとも言える状況であり、新興国が抱えるリスクが現れたと言える。この環境下で上記の研究対象の経営行動も大きく変わっていると考えられる。そこで、改めて、本研究のテーマに沿った上で、ミャンマーでの政治的リスクの増大に対する日系企業および日本人起業家の経営行動に焦点を合わせた情報収集を行なった。
そこで明らかになったのは、企業及び起業家のリスクへの対応の仕方の違いである。事業の継続可能性についての評価とともに、その地で事業を行う理由が改めて問い直され、それと当該者の指向性(例えば、compassionのような感情に動機づけられているかどうか)が企業行動に影響を与えると考えらる。今後は、そうした要素を踏まえた理論構築及びデータの収集を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

当初予定していた現地調査が、新型コロナのために不可能になった。また、新型コロナにより現地の経営環境が変わったことで、その影響を踏まえた経営行動のモデルが必要になった。一般に新興国は成長性、制度の不備などの特徴を持つと言われている。一方で新興国も脆弱性を持つが、それを適切に扱える理論モデルがないことに気がつき、その構築に時間がかかった。
さらに2021年2月に調査対象であるミャンマーで政変が起きた。これも新興国の持つ政治的リスクであるが、これまでの経営学での政治的リスクの扱いは、そもそも十分ではなかった上に、その政治的リスクも必ずしも政変のような、急激な変化を想定したものは少なかった。そこで、改めて、政治的リスクと経営行動の関係を考慮した経営行動のモデルを構成する必要が生じた。
こうした調査対象の環境変化への理論的対応及び、現地渡航の不可能などの情報収集活動の制約により、現在までの進捗は、当初予定よりも遅れている。

今後の研究の推進方策

今後は、現地調査が不可能な時期がある程度の期間継続するという予想のもと、オンライン等によるインタビューの実施など情報収集の方法を改めて検討し直す必要がある。
また、研究目的自体は変わらないが、新型コロナ及び政変という経営環境の変化に応じて、そうした経営リスクを明示的に取り込んだ理論モデルを取り込む必要がある。そのため、新興国経営論の中でも、そうした経営リスクに関わる文献のサーベイを行う。これまでのリスク・マネジメントの研究は、主に局地的な自然・災害リスクや経済リスクを念頭に置いており、政治的リスクについても新興国では汚職などが主な対象であった。今回の新型コロナは世界的な影響を与える自然リスクであり、政変は急激で大きな変化をもたらす政治リスクと言える。そうしたこともあり、既存の理論モデルの適用可能性は必ずしも高くない。そこで、今後はまず、ミャンマー現地の企業動向に注意を払うとともに、グローバルなリスク及び急激な政治リスクを踏まえた理論モデルの構築を行うことを目指す。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していたミャンマーでの現地調査が新型コロナにより実質的な現地渡航が不可能になったためである。当初計画では年2回の現地調査を予定しており、そのうち1回を本研究費で賄う予定であった。今後の現地調査の可能性は、不確定ではあるが、年2回の現地調査が可能になれば、次年度使用額と翌年度分を合わせて年2回の現地調査を実施する予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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