本年度は、本研究の最終年度として、下記の活動を行った。 1.データ収集。複数のアントレプレナーシップ教育プログラムにて、アンケート調査、ビデオ録画データを収集した。今年度は、対面のワークショップのデータを収集することができた。これにより、昨年までのオンラインプログラムとの比較対象が可能となる。 2.分析理論フレームワークの提案。本研究では、アントレプレナーシップ教育プログラムの参加者の学習と成長を測定するため、マルチレベルのフレームワークを提案している。チームレベルでは、チームのダイナミクスを描写するためにビデオ録画を使用した。具体的には、オンラインであればZoom、対面であれば360度カメラにより、音声や行動を記録し可視化した。個人レベルでは、各参加者の起業意思などの経時的な成長を描くために2つの縦断的な調査を実施した。 3.分析結果例.例えば、2021年に行った教員向け研修プログラムについては、創造性のプロセスに関連する「行動統制感」と「創造的自己効力感」という2 つの学習成果に有意な改善が見られた。また、これらの成果の発展には次の3つの重要な個人差すなわち、1)行動統制感の成長については、成長マインドセットが高く、不確実性回避が低い参加者がこのFDプログラムからより多くのものを得た、2)創造的自己効力感の向上を評価したところ、高い成長マインドを持つ参加者が最も大きな成長を遂げた、3)エラーにかかるコミュニケーションなどの変化を分析した結果、性別による明確なパターンが明らかになった。 4.プログラムの志望者と志望動機分析.早稲田大学で実施した関連45プログラムへの申請書を対象に志望動機の分析を行った。志望動機の数は1126件である。 5.分析の結果を学会発表とジャーナル投稿にて公表した。
|