研究課題/領域番号 |
20K01940
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
下野 由貴 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (20379473)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | オープンイノベーション / クロスボーダーM&A / サプライチェーン / スピンオフ / トヨタグループ |
研究実績の概要 |
本研究は、クロスボーダーM&Aを通じたオープンイノベーションの可能性について明らかにすることを目的としている。具体的には、トヨタグループにおける既存事業や新規事業のM&Aを研究対象として、新規事業開発や新製品開発などのオープンイノベーションの戦略や組織について考察する。 本年度については、主として以下の2つの研究・調査を実施した。第一に、トヨタグループのスピンオフ(事業の独立)について、歴史的な観点から明らかにした。スピンオフはM&Aとは対極的な戦略のひとつであるが、トヨタグループの事業展開や事業拡大に関する考え方や価値観を明らかにする上では、重要な要素となっている。トヨタグループに属する企業には、スピンオフによってトヨタから独立した企業が多く存在しており、その独立の経緯や企業の成り立ちが現在のオープンイノベーションに結実していると考えられる。 第二に、トヨタグループにおけるサプライチェーンの成り立ちやあり方を明らかにした。トヨタグループのトヨタ本体とサプライヤーなどのグループ企業には、独特の企業間関係が内在している。具体的には、緊密な連携関係でありながら、グループ内に閉じこもるのではなく、よりオープンに外へと事業展開やイノベーションを拡大させていく関係が見られた。 今年度は当初予定していた海外調査を実施することができなかったが、トヨタグループのオープンイノベーションについて、歴史的に分析したり、トヨタグループ内の独特の企業間関係について、明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、オープンイノベーションをもたらすためのM&Aやスピンオフについて、文献研究を行うとともに、トヨタグループを対象とした事例研究を実施した。また、オープンイノベーションを実現するために、取引の買い手と売り手の双方における戦略や組織についての書籍をまとめることができた。しかし、コロナ禍のために、海外調査や国内調査を行うことができず、インタビューデータの収集が困難となっている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度もコロナ禍のために、海外調査は難しいと考えられる。まずは、関連する文献調査を行い、公刊データに基づくデータ分析を行う予定である。また、国内における企業訪問が可能となれば、インタビュー調査を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のために、海外調査および国内調査のための旅費を使用することができず、次年度使用額が生じた。 今年度も海外調査は難しいが、国内調査に関しては可能となれば、実施する予定である。海外調査を実施できない代わりに、オープンイノベーションや海外M&Aに関するデータの購入についても検討したい。
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