研究課題/領域番号 |
20K01948
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研究機関 | 和光大学 |
研究代表者 |
小林 稔 和光大学, 経済経営学部, 教授 (50287926)
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研究分担者 |
西岡 久充 龍谷大学, 経営学部, 准教授 (10513757)
小林 猛久 和光大学, 経済経営学部, 教授 (40434211)
杉本 昌昭 和光大学, 経済経営学部, 教授 (90318725)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | AI / 人工知能 / ディープラーニング / ビッグデータ / ICT / 情報化投資 / データサイエンス / イノベーション |
研究実績の概要 |
本研究では、AI(人工知能 以下ではAI: artificial intelligence)が産業や企業において、どのような分野へ導入され、また今後はどのように利活用されていくのか、特に企業経営と雇用という観点から分析検討を加えてその結果を示していく。具体的には、企業におけるAI導入の実態をアンケート調査、個別取材、各種資料から明らかにするとともに、アンケート調査により取集したAIに関連する投資額などのデータと当該企業の雇用や財務データを用いて実証分析を行いAIが企業経営や雇用に与える影響を検証する。さらにその結果を踏まえて将来のAIに関する経営戦略や雇用に対する施策を考究する。2021年度は、AIが実際に利活用されている分野について調査分析した。その結果、AIを利活用する分野がさらに拡大し、産業において不可欠な技術となりつつあることが分かった。特に、これまでは自動車や電機電子、機械など製造業を中心として利活用が進められていたAIが、現在では銀行、証券などの金融、運輸や物流、不動産、小売業などサービス業全般において利活用が急速に進められている実態が明らかになった。また、新型コロナウィルスの感染拡大によって在宅勤務が増加したことによって、多くの企業はICTを積極的に導入するようになり、AIに関しても生産性の向上や新しい時代に向けたライフワークバランスの実現のために導入を検討する機運となっている。他方、新型コロナウィルスの感染拡大による社会経済活動の急激な変化とそれに対応した政府日銀による金融緩和による各方面への影響をAIを用いて実証的な分析を進めた。つまり、経済統計や企業財務などのデータをAIを用いて分析することで、足下の社会経済現象や将来の金融市場の動きをシミュレートした。AIの産業企業における利活用の動向を調査研究するとともに、AIを用いて社会経済現象の分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は、AIが実際に利活用されている分野について詳細に調査分析した。その結果、AIを利活用する分野がさらに拡大し、産業において不可欠な技術となりつつあることが明らかになった。これまでは、自動車や電機、電子、機械など製造業を中心として利活用が進められていたAIが、現在では銀行、証券などの金融、運輸、物流、不動産などサービス業全般において利活用が急速に進められている実態を具体的な事例によって確認した。他方、経済統計や企業財務などのデータをAIを用いた分析モデルを構築して分析した。つまり、AIを用いた分析モデルにより足下の社会経済現象や将来の金融市場の動きをシミュレートした。AIの産業企業における利活用の動向を調査研究するとともに、実際にAIを用いて社会経済現象の分析を進めた。 しかし、産業や企業におけるAIの利活用をより詳細に分析するために計画していた企業に対するアンケート調査およびヒアリング調査は実施を見送った。その理由は、2021年度においても産業や企業の活動は、新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受けて低調であったこと。また、在宅勤務の利用拡大によって企業が本来業務の縮小や省力化を進めたことによって、企業の業務負担増となるアンケート調査の実施は困難であることが、複数の企業関係者との懇談によって明らかになった。つまり、企業活動が限定的となったいた2021年度にアンケート調査やヒアリング調査を実施しても企業の業務負担を考慮すれば、企業活動に支障を及ぼしかねないこと、またアンケートの回収も見込めないことが想定されたため2021年度のアンケート調査の実施は見送ることとした。アンケート調査やヒアリング調査については、2022年度以降に、実際に社会経済活動の回復の状況を確認した上で実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度も産業や企業の活動は、新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受けて低調であり、在宅勤務の利用拡大によって企業は本来業務の縮小や省力化を余儀なくされた。そのため、2021年度は企業の業務負担増となり得るアンケート調査およびヒアリング調査の実施は見送り、2022年度以降に実施することとした。 2022年度は、新型コロナウィルスの感染状況を考慮し、企業活動の本格的な始動がある程度確認できた段階でAIの利活用に関する企業へのアンケート調査およびヒアリング調査を実施する。まずは、2021年度までの調査研究成果を踏まえて、最新のAIの技術を反映させたアンケート質問票を作成しておく。実際に、アンケート調査およびヒアリング調査が実施できた場合は、アンケート調査の回収と集計およびヒアリング調査の分析を進め、その結果を考察して企業におけるAIの利活用の実態に関する知見を明らかにする。さらに、アンケート調査やヒアリング調査により収集できたデータを用いて数量的な分析を行い、AIと雇用、生産性との関係性を考究する。他方、最新のAIを用いた分析モデルの構築を進めて、アンケート調査から得られたデータの分析だけではなく、混迷する現在の社会経済現象について、社会経済に関するビッグデータを用いた実証的な研究を同時並行的に進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、AIが産業や企業で利活用されている実態や将来に向けての計画について、実際に企業に対するアンケート調査やヒアリング調査を実施してその結果を集計分析することで、今後の産業や企業におけるAIの利活用に関して考察や予測を行う計画である。しかし2021年度は、新型コロナウィルスの感染拡大によって、社会経済活動は制限を余儀なくされ、企業は本来業務を縮小し、多くの勤労者は在宅勤務によって業務を執行する状況であった。このような環境の中で、企業に対して業務のさらなる負担増が見込まれるアンケート調査を実施しても回収が見込めないこと。また、アンケート調査の対象となる企業に対しても状況を把握せずにアンケートの回答やヒアリング調査を求めることは適切な行為ではないと判断するに至った。さらに、複数の企業関係者との懇談の中で、このような状況下ではアンケート調査に対する回答は困難であるとの意見を聴取した。このため、アンケート調査およびヒアリング調査は、新型コロナウィルスの感染が落ち着き、社会経済活動が一定の水準に回復したことを確認できた段階で実施することとした。このように、アンケート調査およびヒアリング調査の実施を見送ったため次年度使用額が発生した。アンケート調査およびヒアリング調査が実施可能な状況になった段階で使用する計画である。
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