研究課題/領域番号 |
20K01953
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
高 瑞紅 大阪経済大学, 経営学部, 教授 (30420459)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 拠点間関係 / 多国籍企業 / 提携ネットワーク / シナジー効果 / 知識移転・逆移転 |
研究実績の概要 |
昨年同様、新型コロナウイルス感染症の影響で国内外の出張制限がある中、研究計画で予定したフィールド調査を行うことができなかった。そのため、既存のデータベースに電子メールでのやり取りを加えて、事例分析のための資料収集を行い、次の論文を作成した。 1つの論文は、企業の長期的な成長を可能にするための、提携ネットワークの形成とマネジメントについて考察した。近年、競争の激化する市場環境の中で生き残ろうとする多くの企業が複数の提携を同時に進めている。戦略提携は、シナジー効果や補完性を発揮し、新規事業への参入や新しい地理的市場の開拓による潜在的なニーズの探索など、新たな事業機会の創出を促す。本稿では、事例研究から提携ネットワークの形成とマネジメントを検討した。企業が一連の競争優位を生み出すための効果的な提携ポートフォリオを構築するプロセスとそのメカニズムを明らかにした。 もう1つの論文は、多国籍企業内における人材の国際的な配置に着目し、拠点間での知識や能力を共有するために、知識の移転/逆移転を促進する仕組みを検討した。グローバルに分散している海外拠点は時間の経過に伴い、独自の知識とイノベーション能力を構築している。これらの知識や能力を本社や姉妹拠点に移転・共有することで、企業全体のパフォーマンスや競争力の向上につながる。しかし、先行研究の多くは、本社から海外拠点への知識移転(既存知識の活用)に重要視する一方、海外拠点から知識の逆移転(新たな知識の探索)については、十分な注意を払っていない。本稿では、この研究のギャップを埋めるために、海外駐在員と帰任者を同時に取り上げ、人材の国際配置の仕組みと知識の移転/逆移転の効果を検討した。その結果、企業内で知識の移転と共有には、海外駐在員による知識移転に加えて、帰国者による知識の逆移転も企業全体のパフォーマンスの向上に寄与することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学会報告を2回実施し、論文を2本作成したものの、予定したフィールド調査が実施できない状況にあるため、研究の進度は計画より、やや遅れているのが事実である。よって、「やや遅れ」と判断することにした。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ、フィールド調査の実施が再開可能な状況になるか依然として不透明である。メールでのやり取り、ZOOMを用いるインタビューと並行して、国内でのフィールド調査の実施を探るなど、事例分析に必要な資料収集を進めて行くことを考えている。それとともに、学会やセミナーなどの研究報告を行い、成果を継続して出せるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で国内外の出張制限があったため、研究計画で予定したフィールド調査を実施することができなかった。そのため、次年度使用額が生じた。 次年度使用計画として、国内や海外の出張・調査旅費として使用する。(難しい状況が続く場合は資料収集・データ分析費用を増加する)
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