従来のDN研究では、DNの拡張すなわち領域多様性を高める要因としての上司の関わり行動に対する注目はなかった。本研究では対象が新入社員に限られており、その範囲が組織内ではあるものの、直属上司の関わり行動がDNの領域多様性に作用している事例が見出された。この発見事実から得られた実践的示唆は、直属上司が意図的に自身の関わり行動を調整するとともに、部下がそれをどのように認識したかを確認することが、DNのマネジメントにとって重要だといえる点にある。 また、質的データの分析方法として未だ一般的とはいえないSCAT法を用いた結果、その有効性を確認できたこともキャリア研究における一つの意義だった言える。
|