研究課題/領域番号 |
20K01958
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
宮本 琢也 久留米大学, 商学部, 教授 (70549683)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 経営戦略 / イノベーション / 技術転換 |
研究実績の概要 |
当該年度においては,研究テーマである新旧技術の転換期について,文献データを中心に調査を行った。現時点で,インタビュー調査などのフィールドワークが制限される中ではあるものの,文献調査レベルにおいて一定の発見事実が見いだせた。例えば,医療用の画像診断システムであったり,診断やヘルスケアにかかわる光学機器や昨今の二次電池など,様々な分野で技術転換が進んでおり,既存技術を保持する既存企業と,新技術を採用する新規参入企業のせめぎ合いがあることが確認できた。 この1年ほどで注目を集め始めた全固体電池は,これから先の技術であるため,マネジリアルな要因やその結果については不明瞭な点が多い。しかしながら,文献データについては,頻繁にメディアで取り上げられており,また旧来から電池技術を扱ってきた企業や,電池のユーザー側であった企業,電池の部材メーカーであった企業をはじめ,数多くの企業が参入していることが確認できた。さらに,中国をはじめ,海外の電池関連企業についても,文献調査や各種メディアの情報を中心に,一定の情報収集を行った。さらに,このような電池産業に限らず,医療やヘルスケア分野など様々な技術がメディアで取り上げられる機会が増えている。 現時点では,文献データを収集し,整理しながら,技術転換と既存企業や新規参入企業のマネジメント上の特徴を考察している状態である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献レベルでの調査は進みつつも,フィールドワークを用いた戦略的要因・組織的要因・技術的要因についてのデータ収集はほとんど進んでいない点は認めざるを得ない。それに伴い,当初計画ではフィールドワーク後の作業と位置付けていた特許データの収集と分析においても,遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍において,データの収集に遅れが生じてはいるものの,一方で医療用分野においてはメディア等の注目が集まっていることに加え,社会的なニーズも後押ししていることもあり,新技術等が登場している。これを,事例分析に取り入れることで,当初計画以上の幅広い分析ができるかどうかを検討したい。 同時に,文献調査後に,特許データの分析を加速させ,調査の段取りを変更させつつ,当初計画通りの調査を完了させることを考えている。特に,特許データなどの量的なデータについては,フィールドワークの制限の影響を受けないため,量的なデータの分析を先行させつつ研究上の問題設定をより明確にしておくことを,現時点で優先的に進めたい。また,仮にフィールドワークの制限が長期化した場合には,比較的文献データが入手しやすい分析対象に絞ったうえで,その事例の研究を先行させて調査を進めるという選択肢も検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
各種の学会参加に伴う費用が低減できたというプラスの要因が寄与した部分と,企業へのインタビュー調査が制限されていたというマイナスの意味での想定外の事象が関係している。ただし,文献調査においては,当初の研究計画に記した研究手法の確認や,業界の動向については計画通りの予算執行が行われた。
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