研究課題/領域番号 |
20K01959
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
近藤 公彦 小樽商科大学, 商学研究科, 教授 (10205552)
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研究分担者 |
金 雲鎬 日本大学, 商学部, 教授 (10410383)
太宰 潮 福岡大学, 商学部, 准教授 (60526391)
中見 真也 神奈川大学, 経営学部, 准教授 (30794797)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | デジタル・トランスフォーメーション / 小売ビジネスモデル / ダイナミック・ケイパビリティ / イノベーション / オムニチャネル |
研究実績の概要 |
2021年度においては、デジタル・トランスフォーメーションにおける小売ビジネスモデル革新に関わる多面的な研究課題について、研究代表者、研究分担者のそれぞれの理論的関心を踏まえて研究を進めた。 研究代表者である近藤は、研究分担者の一人である中見真也氏とともに(ほか、1名)、ニューノーマル時代の小売業の新しいビジネスモデルをネオリテールと名づけ、その全体像を顧客関係性、価値の創造と提供、活動システム、および収益フォーミュラの観点から提示した。また、研究分担者である中見真也氏、金雲鎬氏、太宰潮氏とともにアカデミックフェローとして参画している(一社)オムニチャネル協会との連携を通じて実務活動に関する情報交換を進め、オムニチャネルの理論的側面とそれがデジタル・トランスフォーメーションとどのように深く関連しているかを議論した。 さらに、研究代表者がメンバーとして加わる日本マーケティング学会デジタル・トランスフォーメーション研究会において検討を重ね、デジタル・トランスフォーメーションの動的発展を説明するダイナミック・プロセスモデルを提示するとともに、その概念モデルを用いて、デジタル・トランスフォーメーションの発展段階を異なる移行過程(パス)を通じて経時的変化を遂げた事例」を分析し、そこから得られた新たな知見や論理を概念モデルに反映する可能性について議論した。研究分担者である金氏は、他の研究者とともにデジタル・トランスフォーメーションにおいて重要な視点であるエコシステムに注目し、そこにおける企業間の関係性の質について考察を行った。さらに研究分担者である太宰潮氏は、デジタル・トランスフォーメーションの1つの重要な戦術局面であるサブスクリプションに焦点を当て、それが顧客関係性、顧客行動、顧客満足にどのような影響を及ぼすかを研究した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、研究者個々人の問題意識に沿って研究を進めつつ、デジタル・トランスフォーメーションとビジネスモデルの革新という本研究のテーマを掘り下げ、多くの研究成果を上げることができた。とくに、「ネオリテール」として概念化したデジタル変革期における新たな小売ビジネスモデルは、次年度における実証研究のためのフレームワークとなるものである。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度においては、これまでの研究蓄積を踏まえて、アンケート調査により、デジタル・トランスフォーメーションと小売ビジネスモデル革新に関する実証分析を行う予定である。 研究代表者が「ネオリテール」のフレームワークに基づいて研究全体の統括を担うとともに、実証研究に向けたリサーチ・クエスチョン、仮説の構築を行い、研究分担者が組織、消費者行動の観点からより詳細な分析次元、変数の設定を行い、小売業を対象としたウェブアンケートを実施する。このアンケート・データを多変量解析による詳細に分析し、デジタル・トランスフォーメーションがどのように既存のビジネスモデルを変革し、どのような成果を生み出すのかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度において次年度使用額が生じたのは、コロナ禍により研究会、ヒアリングのための出張がオンラインに置き換わったため、ならびにアンケート調査の実施を2022年度としたためである。2022年度においては可能なかぎり研究会、ヒアリングのための出張を行うとともに、アンケート調査による実証研究を行う予定である。
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