研究課題/領域番号 |
20K01961
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
阿部 誠 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (70302677)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 顧客生涯価値 / CRM / 周期性 / 顧客関係管理 / 離脱 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、顧客データ(購買履歴、購買以外の行動データ)から、消費者の行動をモデル化し、個人別にパラメータを推定し、その顧客が将来にわたって企業にもたらす価値-顧客生涯価値 (CLV)-を算出することである。さらにCLVの概念を拡張し、顧客を新規獲得した場合に創出されるであろう価値、さらには購買以外の非金銭的な行動(エンゲージメント)による価値を含めることによって、企業がより適切な経営判断を下せるような手法を提案したい。 今年度は特に購買データの拡張に焦点をあてて研究を行った。阿部(2011)は、非契約型取引において、一人ひとりの購買履歴を集約したRFMデータから、行動特性(購買、取引金額、離脱)を顧客別に推定して、その生涯価値を算出した。一人の顧客から得られるRFMという3指標のみでは行動に関する情報量が絶対的に不足しているため、顧客別に特性(パラメータ)を推定するモデルでは、購買はランダムに発生するというポアソン仮定が必要であった。この仮定は、デパートのように様々なカテゴリを購買する場合には満たされるが、美容院のような周期性のある単一カテゴリの購買には当てはまらない可能性がある。したがって、RFMデータを超えて1回1回の購買を記録した履歴データを用いて、この仮定に制約されない、周期性のある取引にも適用できる、生涯価値モデルを構築することは有用である。 研究の成果は、「周期的な購買行動に対応した顧客の生涯価値の導出と顧客維持介入戦略への応用」JIMSマーケティング・サイエンス,Vol.28,No.1,29-48,2020年、にまとめられている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は海外での学会発表を行えなかったため(COVID19)、他の研究者から広くコメントを得ることが出来なかった。多くの研究費は来年度に繰り越すことになった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の課題として、まず、購買データが少ない顧客に対してもパラメータ推定を可能にする手法の開発があげられる。 また、顧客の購買行動(購買、取引金額、離脱)が、顧客特性やマーケティング変数に依存するようなモデルの開発も必要である。 アプローチとしては、階層ベイズが有用であると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は海外での学会発表を行えなかったため(COVID19)、他の研究者から広くコメントを得ることが出来ず、研究費は来年度に繰り越すことになった。
COVID19の状況が改善して、海外出張が可能になった時点で支出する予定。
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