研究課題/領域番号 |
20K01961
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
阿部 誠 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (70302677)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 顧客生涯価値 / 顧客関係管理(CRM) / 離脱 / ベイズ推定 / エンゲージメント |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、顧客データ(購買履歴、購買以外の行動データ)から、消費者の行動をモデル化し、個人別にパラメータを推定し、その顧客が将来にわたって企業にもたらす価値-顧客生涯価値 (CLV)-を算出することである。さらにCLVの概念を拡張し、顧客を新規獲得した場合に創出されるであろう価値、さらには購買以外の非金銭的な行動(エンゲージメント)による価値を含めることによって、企業がより適切な経営判断を下せるような手法を提案したい。
昨年度は、ネット上でのブランドやサービスの発信が、他の消費者にどの程度の影響を与えるかを数量化することによって、購買以外の非金銭的な行動(エンゲージメント)の価値を把握した。その背景には、近年注目されているインフルエンサー・マーケティングにおいて,クチコミ伝播の起点と なるシードの選定(シーディング)が重要な論点の 1 つになっていることが挙げられる。クチコミの波及効果に おいてハブの重要性が認識される一方,それに対して否定的な研究もある。この研究では, Twitter 上でインフルエンサ―がある製品について投稿したとき,そのフォロワーに対して起 こす連鎖反応を個人の異質性を考慮してモデル化した。そして費用条件を変えたとき,どの ようなシーディング戦略が利益を最大化できるかをシミュレーションによって確かめた。
研究の成果は、「発信者と受信者の異質性を考慮したインフルエンサー・マーケティングにおけるシーディング戦略」JIMSマーケティング・サイエンス,Vol.30,No.1,9-32,2022年、にまとめられている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
過去3年間、海外での学会発表を行えなかったため(COVID19)、他の研究者から広くコメントを得ることが出来なかった。 また、2023年9月~2024年9月まで海外の大学で在外研究した要因もあって、多くの研究費は来年度以降に繰 り越すことになった。
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今後の研究の推進方策 |
購買データに加えて、購買以外の非金銭的な行動(エンゲージメント)データを分析することにより、企業価値を表わす新たな指標の開発を目指す。SNSサイト Twitterでの顧客のリツィートの情報に基づいて、エンゲージメントをモデル化、測定する予定である。 最終的には、金銭的、非金銭的行動からもたらされる価値を顧客別に合算することによって、有効顧客数、顧客総生涯価値、顧客総資産などを算出したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
過去3年間、海外での学会発表を行えなかったため(COVID19)、他の研究者から広くコメントを得ることが出来なかった。 また、2023年9月~2024年9月まで海外の大学で在外研究した要因もあって、多くの研究費は来年度以降に繰 り越すことになった。 今年度は海外学会への出席を予定している。
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