研究課題/領域番号 |
20K01978
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
岸谷 和広 関西大学, 商学部, 教授 (40330170)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | エンドースメント効果 / 広告懐疑 / SNS |
研究実績の概要 |
前年度の文献レビューに引き続き、具体的な仮説を構築するためにさらなるレビューを充実させた。具体的には、広告懐疑論、PKM(Persuasion knowkege Model)、Ad skeptics(広告懐疑論)などの理論領域を詳細に検討することで、投稿者のエンドースメント効果を阻害する要因を抽出した。さらに、投稿者の推奨に対する懐疑は、質問紙によって測定する長期的な特性とprimingの方法によって喚起される状況的な懐疑に分類され、それぞれの理論的特性と方法論的な適合性を検討した。後者の状況的な懐疑に関しては、懐疑を引き起こすcueの分類がなされている。具体的には、発信者の属性の情報源効果(有名人、専門家、一般人)があげられる。有名人に関しては、より他の発信者の属性よりも懐疑を喚起する可能性が高い。発信者のフォロワー数もその数が多いほど懐疑を喚起しやすい。メッセージの側面に関しては、ハッシュタグなどで広告ラベル(sposored content)の付与も懐疑を喚起する。しかし、メッセージにおいて広告ではないこと、金銭な対価を得ていないことを具体的に明示することは、懐疑心を緩和する可能性がある。これらの効果は、発信者の属性の組み合わせによって変化する。Cue以外の側面としては、regulatory focus(promotive focus and advoidance focuss)が広告懐疑を喚起する可能性が存在する。積極的で前向きな特性の持ち主は、疑い深くなくメッセージを受容する傾向が考えられるのに対して、問題を回避することに焦点を当てる人は、疑い深く、Cueに反応しやすいと考えることができる。最後にこうした変数の関係は、それらが行われるSNSの特性によって変化することが想定でき、その特性との関係を検討して仮設化を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度もコロナ感染の再拡大によって、研究計画初年度で行う予定であった仮設構築を行うために実施すべきデプスインタビューやグループインタビューを実施することができず、さらには、研究計画では、2年目に行う予定であった、少数の人数を用いたプレテストが実施できていない。さらには、情報収集のための海外渡航もできないために研究の進捗は遅れていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
いままでの遅れを取り戻すために、早急に、ヒアリング、プレテストを実施し予備調査を行うことで仮説の微調整を行い、同時に、実験用のマテリアルを作成することで本調査を速やかに行うように努力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染の再拡大によって、再び予備的な調査(グループインタビュー、デプスインタビュー)や国内外の研究会の参加などの情報収集の機会を設けることができなかったため、旅費や人件費・ 謝金などの支出がなかった。また、予備的な調査ができず仮説を確定することができず、実験に使用するWebデザイン作成も行うことができなかったことから外部委託費などの支出もできなかった。2022年度は、予備的調査の実施と実験用のウェブマテリアルの作成に、人件費や謝金、外部委託費の支出を予定している。同時に、次年度期間中に本テストを行うことも予定している。よって、調査会社に委託する外部委託費、それに伴う人件費や謝金を支出する予定である。旅費に関しては、次年度も、コロナ感染の収束が不透明なことから支出を予定していない。
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